第1回 1年生になるまでに四泳法をマスターする
~2歳からベストスイマーになるまで~
「幼児期の習い事は、どこまで頑張らせればいいのだろう。」
子どもが小さい頃、私自身も何度もそんなことを考えました。
わが家の長女は2歳からスイミングを始めました。今では四泳法を泳ぎ、ベストスイマーとして練習していますが、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
何か月も進級できない時期があり、悔し涙を流した日もあります。
それでも振り返ってみると、その「進級できなかった時間」こそが、大きく成長していた時間でした。
この記事では、2歳から小学校入学前まで約3年間、100回を超える本科レッスンと約50回のマンツーマンレッスンを積み重ね、ベストスイマーになるまでの記録を振り返ります。
2歳、「泣かなければOK」から始まった
長女がスポーツクラブのスイミングスクールへ通い始めたのは、2020年8月、2歳のときでした。
最初の目標は、とてもシンプルです。
「今日は泣かなければOK。」
今では当たり前のように泳いでいますが、当時は顔を水につけることさえ大きな挑戦でした。
翌年にはマンツーマンレッスンも始まりました。
顔を水につけられない。
水中で目が開けられない。
腕を伸ばすと姿勢が崩れる。
記録には「できなかったこと」がたくさん残っています。
しかし翌日の記録には、
「10秒くらい息を止められた」
「目を開けられた」
そんな小さな成長が書かれていました。
振り返ると、大きな飛躍はありません。
小さな成功を何十回も積み重ねた結果、少しずつ泳げるようになっていきました。
「進級ならず」が続いた日々
記録には、進級した日だけではなく、「進級ならず」と書かれた日も数多くあります。
ロケット姿勢が崩れる。
膝が曲がる。
呼吸をすると顔が上がる。
キックが弱くなる。
子どもにとって、一度に全部を直すことはできません。
そんな娘に、コーチはいつも子どもにも分かる言葉で伝えてくださいました。
「親指同士がぶつかるように。」
「もものハートを触って。」
「おだんごを肘につけるよ。」
技術ではなく、イメージで教えてくださったことが印象に残っています。
そして成長していたのは泳ぎだけではありませんでした。
大きな声で挨拶ができるようになった日。
コーチの話を最後まで聞けた日。
一人で着替えられるようになった日。
進級できなかった日にも、確かな成長が積み重なっていました。
3歳、自分の力で12.5メートル泳ぐ
2021年9月、長女は児童クラスへ進みました。
年上の子どもたちの中に入っても、待っている時間はボビングを繰り返し、自分の順番を楽しみにしていました。
その頃には、自分の力だけで12.5メートル泳げるようになっていました。
フォームはまだ未完成でしたが、「自分で泳げる」という自信を手に入れたことが何より大きな成長だったと思います。
停滞のあとに訪れた進級ラッシュ
4歳では、約10か月間進級できない時期がありました。
何度挑戦しても届かない。
それでもフォームを少しずつ修正し続けました。
すると5歳になる頃から状況が大きく変わります。
クロール。
背泳ぎ。
平泳ぎ。
一つずつ課題を乗り越え、進級が続くようになりました。
もちろん順調だったわけではありません。
平泳ぎでは足の動きに苦労し、何度もやり直しました。
それでも「焦らなくていいよ」というコーチの言葉を信じ、一歩ずつ前へ進みました。
最後の壁、バタフライ
最後に残ったのはバタフライでした。
呼吸をすると姿勢が崩れる。
頭が上がる。
腕が戻らない。
何度も「あと少し」で進級できませんでした。
しかし2023年9月、マンツーマンレッスンでフォームを見直したことで泳ぎが一気に安定します。
そこからは四泳法の基準を一つずつ突破し、ついに最後の挑戦を迎えました。
2023年10月、ベストスイマーへ
2023年10月。
二度目の計測で基準タイムを突破し、ベストスイマーへ進級しました。
2歳から約3年。
100回を超える本科レッスンと約50回のマンツーマンレッスンの積み重ねでした。
運もあったかもしれません。
しかし、その運をつかめたのは、「進級ならず」の日にも休まず通い続けたからです。
ベストスイマーまでの道が教えてくれたこと
この3年間を振り返って強く感じるのは、子どもの成長は一直線ではないということです。
停滞しているように見える時間も、実は見えない力を蓄えている時間でした。
そして長女は一人でここまで来たわけではありません。
子どもに寄り添ってくださったコーチ。
応援してくれた家族。
一緒に泳いだ仲間。
多くの支えがあったからこそ、「もっと泳ぎたい」という気持ちを持ち続けることができました。
一年生になる前にベストスイマーになったことは確かに誇らしい出来事です。
しかし、それ以上に心に残っているのは、泣かずにプールへ入れた日、初めて一人で着替えた日、進級できず悔しがった日、そして翌週にはまた笑顔でプールへ向かった姿でした。
当時は進級ばかりに目が向いていました。
でも今読み返すと、一番大切な記録は「できた日」ではなく、「できなかった日」に残されていました。
次回は、その約50回に及ぶマンツーマンレッスンから見えてきた「子どもが本当に伸びる教え方」についてまとめたいと思います。