はるか昔に原作を読んでいたのですが、ドラマを見て登場人物たちの印象の違いにまずびっくりしました。
原作を読んでいる時に感じたのは、特殊な状況で起きる殺人事件に巻き込まれて、真剣に切実に謎を解こうとする人たちってイメージでした。
ところが、ドラマの登場人物たちは、軽薄で鼻持ちならない不謹慎極まりない嫌な奴らに見えました。いや、これは演出や演技を非難しているのではないのです。おそらくそう見えるように意図的に演出し、演じたのだと思います。考えてみれば人の死を面白がって謎解きするってよっぽど歪んでます。
しかも、「名探偵気取り」「乱暴者」「お嬢様気質」「気の弱い陰キャ」など、クローズドサークルに出てきそうなキャラクターを登場人物たちがそれぞれ演じているようにも見えます。
殺人現場に放り込まれた自分に酔って、稚拙な推論を滔々と語る姿は、若さというか未熟さの痛々しい部分がむき出しになっているようで、自分にも刺さる部分があり、いたたまれない気持ちになりました。
そしてそういう描写が意図的である、というのがはっきりするのが、発端になった事故(事件)に遭遇した時の各登場人物たちが見せる表情です。あの表情は、この作品での一番の衝撃でした。どんでん返しも衝撃度はあるのですが、それよりも個人的にはこっちの方が胸にずしんと来ました。
個人的にも心当たりがあるんですよね。例えば「台風が来る」って時。災害だし恐ろしいし、実際被害にあう人もいる。それが分かっていながら、小学生の時にはなにかワクワクしていました。非日常感に興奮するというか。それのもっとえげつない感情を表情で切り取って見せた演出は素晴らしいと思います。
そして、もっと言えば真犯人自体もこの鼻持ちならない軽薄さを共有していたんじゃないか、という気がします。海に流したメッセージボトルなんて自己陶酔の極みともいえると思います。
僕が衝撃を受けた「表情」も真犯人が、「そうだったに違いない」と考えているだけで、実際そうだったのかはわかりません。ということはそういう表情をするに違いない、と思いつく要素が真犯人側にもあったということで…。突き詰めると救いがないですねぇ。
トリック自体は原作既読なので驚きはありませんでしたが、初見であれば十分楽しめるのではないでしょうか。見て損はないと思います。




