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感想亭備忘録

ドラマ、映画、小説について感想、解説、批評など。
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タイトルにも書きましたが、ドラマ独自の面白さは全く見当たりません。それでも見続けられるのは、戦国時代の主人公がそろって出てくる戦国ど真ん中の史実が面白いからです。

 

面白くない理由その1

合戦の描き方が下手すぎる。

長良川の戦いで言えば、だだっ広い原っぱに12,000の軍勢と言いながら100人かそこらの人間がパラパラ立ってるだけ。戦闘も戦ってる感じを出してるだけで殺陣にもなっていない。

広ーい野原の何だか真ん中辺に盾と柵で5、6メートルの陣地作ってる所に(迂回すればいいのに)突っ込む20人弱の明智光秀勢。少なすぎるし最終的に一騎になって何しに行くんだかわかりません。

12,000の軍勢の中枢にいる高政(義龍)の前に乱戦でもないのに道三が一騎駆けでやって来る…前衛やらの他の部隊は蹴散らされたの?

そして一騎打ち(失笑)。

一騎打ちといえば川中島の信玄と謙信が有名ですが(あれもフィクションではありますが)、あれは朝から霧が立ち込め双方想定外の不期遭遇戦が発生してどっちが勝ってるかもわからない中、有力武将も次々打ち取られる大乱戦の中だから真実味があるんです。晴れ渡る見晴らしのいい河原で起こる意味が分かりません。

合戦を描きたくないのなら戦国を題材にしなきゃよかったのに。

 

面白くない理由その2

主人公、明智光秀がとんでもなく影が薄い。あらゆる局面に一切なんの影響も与えない主人公って中々珍しいんじゃないでしょうか。有用な提言をするわけでなく戦で手柄を立てるわけでなく外交に活躍するわけでなく、ただただ「無」。薬屋とのやりとりでしか存在感がありません。

ただ、これは仕方ない面もあります。史実の光秀が、美濃斎藤家に仕えていたはずなのにほぼ何の事績も残していないので、史実準拠で行く限り何もしてはいけないという縛りが発生してしまうのです。

とは言え明智城の攻防で獅子奮迅の戦いをした後落ち延びる、ぐらいのことはしてもよかったと思うんですが…。

 

面白くない理由その3

帰蝶の頭の悪い出しゃばりっぷり。

なぜ突然(明智を頼りにしていたはずなのに明智への根回しもせず)弟の孫四郎の謀反を煽ったのか。国主として実権を握った高政にあからさまに反抗的な態度をとらせれば殺されるのはわかっていたはずなです。「皆馬鹿者じゃ」とかなんとか言っていましたが、原因は帰蝶の浅慮なのは明白です。なんでこんな無能な働き者として描く必要があったんでしょうか。

 

あとは全く不要な薬屋絡みのエピソードも面白くない理由の一つですね。なんとか太夫も不要でしょう。

 

それらマイナス要因を史実の面白さと役者の演技力で何とか持ちこたえているのが現状です。演出も脚本もちょっと考えられないくらいに低レベルで驚いています。

次回からは越前編ですかね。まだまだ光秀の活躍が始まるには時間がありますがなんとか面白く描いて欲しいものです。

 

素直に面白い時代劇コメディでした。

主演の星野源さんは「箱入り息子の恋」「逃げ恥」の流れを継ぐ、対人関係を築くのが苦手な内気な青年をコミカルに演じて、まさにはまり役です。高畑充希さんは勝気な下級武士の娘でこれまた彼女のパブリックイメージに近い納得の役どころ。

 

役者個人のパブリックイメージと全く違う役を演じたのが高橋一生さん。優男だったり口が達者な屁理屈男だったり純真で天真爛漫で朴訥な男だったり、なんにせよ腕っぷしとは程遠いところを演じてきた彼が、この映画では腕力一辺倒、豪放磊落・傍若無人で気は優しくて力持ちな戦闘狂の武士を演じました。これがハマってるんですよ。豪傑というには体の線が細いんですが、それを感じさせない迫力で、男気に溢れ友情に厚く武芸にかけては天下一品だが思慮には欠ける、といういわゆる脳筋(脳まで筋肉)な好漢っぷりを見せてくれます。

クライマックスの殺陣のシーン、襲われて右往左往する味方と対照的に、戦えることが心の底から嬉しくて嬉しくてたまらない戦闘狂っぷりが際立っています。高橋一生さんの役者としての凄味、力量がよくわかりました。

 

物語は、姫路15万石の大名が豊後(大分)日田7万石に減封の上転封という大変な難事業を、引きこもりで対人恐怖症気味の青年が引っ越し奉行として成功に導くその過程を描いています。

面白いのですが、タイトルから連想したほど引っ越しそのものに対するアイデアというか策はなかった気がします。持っていけないので家財を強制的に処分させる、減封で雇えなくなった藩士を一部一時的に帰農させる、商家から借金をする、人足を雇わず藩士自身に運ばせる、そのアイデアは主人公のひらめきもあって面白いのです。ですが、引っ越しなので、しかも藩士2,000人…数百人帰農させるにしても千数百人、家族や使用人まで含めれば数千人の大移動です。道中の宿の手配や宿割りはどうするのか、船で運ぶにしても一度に全員は運べないのをどうするのか、牛窓から船に乗るようでしたが姫路→牛窓は70kmあります。足弱な老人や婦女子をどうやって移動させるのか、そういう移動の困難の解決にもいろんなアイデアを見たかったです。原作ではその辺も描かれているんでしょうか。

まあ、これはだからダメというわけでもなくもっともっと見せてほしかったという視聴者の我儘なんですけどもね。

 

とにかく高橋一生さんは一見の価値ありです。星野源さん、高畑充希さんの安定っぷり、濱田岳さん、西村正彦さん、松重豊さんら芸達者の助演陣のおかげで楽しい映画に仕上がっています。

 

主演の二人、阿部サダヲさん、吉岡里帆さんのトンデモナイ歌唱力に圧倒されます。阿部さんはグループ魂で歌っているので(うたっている内容はアレですが(笑))上手いのはわかっていましたが吉岡里帆さんは予想外でした。かわいいとか素敵とかじゃなくて凄いです。もちろん役作り的にそういう歌い方をしている部分はあるにせよド迫力ボイスでした。

 

しかし最近の女優さんは歌上手い方が多いですね。上白石姉妹はもちろん、高畑充希さんも長澤まさみさんも、満島ひかりさん・・・は元々歌うたってたんでしたっけ。不倫騒動で大変だった杏さんも上手いですね。

カラオケの普及とやっぱり関係あるんでしょうか。

 

と、歌の話はこの辺にして映画本体のお話ですが、これはちょっとお勧めできない仕上がりでした。オフビートを狙って狙って狙いすぎて一周回って普通に笑えない映画になってしまっていたと思います。阿部さんと吉岡さんの間の取り方が上手くてふっと笑ってしまうシーンはあるんですがそれは単発で、映画全体を通して流れるのは笑えそうなシチュエーションなのに笑いまでたどり着けない感です。

 

もう一つ盛り上げ方の下手さが際立っていました。恐らくクライマックスシーンの花火工場からの脱出ですが、「失敗に終わる逃亡」とう悲劇のパターンをやりたかったみたいですが何しろスピード感がないんです。バイクに乗って逃げるんですがどうも足で走ったほうが速そうなんです。無意味に全裸のおじいさんが出てきたりして緊張感をそぐしスローモーション多様で元々スピード感がないのに一層ゆっくりに見えて、盛り上がらないこと甚だしいんです。

 

ストーリー的にもあのシーンで警察から逃げる意味が分からないので感情移入も難しいんですよね。阿部さん演じるシンの喉を治すために違法なことをして逃げている、とかその辺うまく繋げてほしかったところです。

 

結論として残念な映画としかいいようがないのですが、それでも主題歌を歌う二人の歌声は一聴の価値ありです。youtubeにありますので聴いてみてください。舞台挨拶での生歌披露も驚きのクオリティです。ぜひ。

 

 

 

原作ははるか昔に読んだ記憶があるのですが、内容はすっかり覚えていません(笑)

吉岡里帆さん繋がりで見てみました。

 

全く違う二つのシチュエーションが同時進行のように映し出されて、混乱します。主人公も混乱しています。どちらかが夢でどちらかが現実?それとも…?

とは言え恐らくどちらかがフェイクなんだろうなあということはわかります。そして往々にして主人公にとって苦い思いをするほうが現実なんだろうなあということも。

 

何が原因でどうして、何のためにそうなっているのか。徐々に解き明かされる謎に惹きつけられます。わかりにくい二つの世界の転換も含めて面白いと思います。主人公が中々にクズなところも興味深いです。

 

ですが、この映画の肝は最初のシーンでしょう。並走する電車の中で窓越しに見つめあう二人。印象的でいろんなことを暗示しているようです。せっかくこんな素敵なシーンを作り出したのだからラストもそのシチュエーションを使えばよかったのになあという気がします。

 

純愛というには汚い部分を孕んだラブストーリーですがこういう苦さを抱えたお話は嫌いじゃないです。画質で現在と過去をかき分ける手法も面白く映像的にも楽しめた作品です。

 

そういえばamazonのコメントでベッドシーンが濃すぎて見るのが辛い、とジャーニーズファンの方が書いていたのですが…いや、濃いかな、これ。アイドルファンの方はセンシティブなんだなあと、いらない感想も持ってしまいました(笑)

 

見ごたえのあるサスペンス映画でした。

盲目の主人公を吉岡里帆さんの素朴な美しさにも惹かれました。

 

まず特筆すべきは盲目の主人公の視点(というのも変ですが)の描き方が秀逸です。聴覚と触覚だけで再構成される世界。グレー一色の画面に音がしたもの手に触れたものだけが描かれ、そこから周辺の情報が広がっていくという描き方で主人公がどのように感じているのか視聴者にわかりやすくなっています。

 

主人公が盲目なのに無謀なぐらいに積極的に動くのに驚きました。ちょっと無謀じゃないかと思えるぐらいに能動的なんです。ちょっと斬新ですよね。魅力的なキャラクターなので、続編とか連ドラとかになってくれないかなあと期待してしまいます。

 

吉岡里帆さんは比較的明るいポジティブな役が多い方ですが、暗めの感情を抑えた演技も上手いんだということがわかりました。演技の実力はかなり高いですね。演技の引き出しはいっぱい持ってらっしゃるんじゃないでしょうか。それを十全に発揮できる作品に出会ってほしいものです。

 

邦画のサスペンスとしてはかなりいい線行っている映画なのに今一つ流行りませんでしたね。もったいないです。もし未見の方はお時間のある時に見られてはいかがでしょう。