読書「屍人荘の殺人」今村昌弘著 感想 | 感想亭備忘録

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思っていたよりもオーソドックスというかオールドファッションというか、古き良き探偵小説的なお話でした。

 

もちろんとんでもない飛び道具的なシチュエーションがありその飛び道具を使ったトリックがあるのですが、シチュエーション自体はクローズドサークル(交通・連絡手段が絶たれ孤立した状態)を作り出すための仕掛けであり、トリックはとんでもない存在を使っっているとは言え、正統派であり、ある意味真面目ともいえるものでした。

ですので「驚愕の真実が暴かれる!」というよりも理詰めで何が起こったのかを解き明かす落ち着いた流れになっています。

 

個人的にはもっとパニックホラー的な要素が強いのかなと期待していたのですが、そういうサバイバル、生き残りを賭けた闘い的な緊迫感はあまり感じられませんでした。

 

閉ざされた環境での連続殺人という状況で恐怖と緊張に苛まれる主な原因というのは、基本的に「誰が」「なぜ」殺されるのかわからない、だから誰がターゲットになるかわからない、というところにあるのですが、この作品の場合、殺される理由も殺されるであろう人物も、早い段階でわかってしまうので、その分恐怖や緊張が薄れてしまっています。

逃げ場がないという環境ではあるのですが、殺されるかもという恐怖はあまりない、ということです。もちろん外部環境によって命の危機はあるわけですが、それは終盤まで顕在化してきません。

 

とんでもないものが出てくるのですが、基本は丁寧な推理によって理詰めで謎が説かれる本格物というスタイルなので、推理小説好きには評価が高いのもうなづけます。

 

個人的にはもっと怖がらせて欲しかったなあ、と思うのですがそれでも充分楽しめる作品ではあると思います。映画はかなりコメディタッチのようですがどんな風に映像化されてるのか気になりますね。