「獣になれない私たち」第9回感想 | 感想亭備忘録

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あー、うん。

なんともコメントしづらい展開です。

 

冒頭の恒星(松田龍平)と晶(新垣結衣)の恋人を通り越して長年連れ添った夫婦のような穏やかな雰囲気から、徐々に「いい話度」が加速していき、晶と朱里(黒木華)と京谷の母(田中美佐子)の女子会に至っては気恥ずかしすぎ正視できないまでになりました。

頑張る朱里を描くあたりから暗雲が立ち込め始めたかと思うと、一気にとんでもなくストレスフルな展開に突入します。

 

ストーリーを横に置いておいて物語の構造を考えた時に、これはどう考えても視聴者の感情を逆なでする、不愉快に感じざるを得ない構造なのです。展開が逆転してるんです。

普通であれば、前半に強烈なストレスを与えて、中盤の展開をはさみ、終盤ストレスの元になるエピソードが解決し穏やかになる。もしくは最後に次のエピソード開始の衝撃的な展開を配置する。これが見ていて楽しいと感じられる基本的な構造だと思います。

このフォーマットを忠実になぞりやすいのが一話完結もので、だからこそ、弁護士モノ、刑事モノ、医療モノなどのエピソードが一話ごとに完結する系統のドラマが好まれるという部分があるのだと思います。

 

このドラマも前回、第8話はまさにそんな展開でした。

当然脚本家もそんな事わかっていてやっているのだと思います。次回最終回に向けて、今回を前半、最終回を後半と位置づけているのかもしれません。しかし、今まで心穏やかに見られたのが第8話のみという状況の中でまたこれでは、晶よりも恒星よりも朱里よりも見ている方がストレスに潰されてしまいます。

少なくとも晶の仕事に関しては明確な決着を見せてほしかったですね。まあそれは最終回のお楽しみなんでしょうが…楽しめるのかなあ。

 

そしてもう一つ、このドラマのエピドードは、ほぼ全て「マイナスの状況を無理して頑張って傷ついてなんとか0の状態にする」お話です。これは辛いです。一生懸命頑張って力を振り絞ってようやく辿り着くのがよくも悪くもない状態。一応のカタルシスがないとは言いませんが、同時に無力感というか虚無感と言うか、何やっても無駄感が漂ってしまいます。

 

そして今回に関して言えば全力を尽くしても0にすら戻せなかった二人が傷をなめ合うようにベッド・インです。心中しちゃうんじゃないかって雰囲気で、週の真ん中にどん底まで落とされた気分です。

晶の「間違った?」の言葉で多少救われはしましたが。

 

悪い点ばかりではないんですがね。粉飾決算を断ろうとする恒星と、社長に反論する晶をシンクロさせて演出は迫力がありました。

恋愛しなくてもひとりぼっちではないという晶の考え方も(ちょっと甘いですが)人が生きていく上での新しい何かを提示できていたようにも思います。

晶と恒星の恋愛ではない性差を超えた人と人としての関係っていうのも、そういうものがあれば素敵だなあと思わせてくれるものでした。

社会からドロップ・アウトした朱里が、立ち直ろうとする姿も健気でした。

まあ、結局、演出の迫力は別としてそれ以外の部分は今の所ドラマ内で否定されてしまったんですが。

 

このドラマ、現状かなり負けの込んでる状態だと思います。9回裏33-4で負けているようなもんです。よっぽどの超絶大逆転でもしない限り、ただただストレスフルなドラマだったという記憶しか残らない気がします。とにかく次回、無理でも無茶でも思いっきり弾けた内容になることを希望します。

 

あ、ちなみに山内圭哉さん演じる九十九社長。ああいう種類の人間は実在します。プレーヤーとしては天才的に優れているんですが、管理者、指揮官、組織人としては低能どころか全くの無能という人。

自分と同じレベルで仕事ができて0点。それ以下の人間は馬鹿に見えて仕方ない。なのでボロクソにこき下ろす。なまじ本人が優秀なもんで周囲も反論できなくなっている。本人にも周囲にも不幸な状態です。

ああいう人は役職につくべきではないんですよね。平社員のまま歩合で給料もらうとか、そういう働き方が適しているんです。

そういう厄介な人をリアルに描き出した脚本家もそれを演じる山内さんもさすがうまいですね。上手いがゆえに視聴者にはストレスが溜まるという悪循環ではありますが(笑)

最終回九十九社長がどうなるのか、京谷がどうなるのかよりもよっぽど興味があったりして(笑)

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