今回は松尾公平(小池徹平)の独壇場でした。
前回のコメントで、松尾の存在はアルツハイマーという病の負の側面を見せているのか、それとも過酷な状況に追い込まれた末に見せる狂気なのか、というお話をしていたのですが、今回の描写を見る限りはどっちでもなかったですね。
いわゆるサイコパス。一見チャーミングでありながらその実他者を傷つけ、自分は安全でいるために綿密な計画を立てる、そういう人物のように見えました。
しかし小池徹平さんはうまかったですね。
尚(戸田恵梨香)を自分の思うように誘導できた時のあのニヤッと笑う笑顔。他のドラマではあんなに爽やかに感じた彼の笑顔を、こんなに不気味に不愉快に感じるとは思いませんでした。笑うタイミング、笑いの前後の表情、彼の作り出す間がそう感じさせたのでしょうか。
見事な怪演だったと思います。一度、小池徹平さんが演じる徹底的に壊れた犯罪者の役を見てみたいとすら感じました。
とは言え、松尾は案外あっさり撃退されちゃいまいたけど(笑)
松尾の仕掛けた、健常者とアルツハイマーを患った人は対等ではいられない、という呪いは、対等であることなどに価値は見出さないとした尚に粉砕されてしまいました。
個人的にはサイコパスとしての異常性を見せつける松尾よりも、尚に粉砕されたあとの彼がどう考え何をするのかの方に興味が湧いてしまいます。
と、ここまで松尾について書いてきましたが、僕が今回一番の恐怖を感じたのは、「脳みそとアップルパイ」の続編のタイトルを真司(ムロツヨシ)に一番に教えてもらったにもかかわらず、それをすっかり忘れてしまっていた、そのことでした。
第三者が尚と真司の仲を裂こうと邪魔をしてくるなんていうのは、記憶を失いつつあるという重大事の前では些細なことに思えてきます。
自分が自分でなくなる。その破滅的な事態が着実に迫ってくる恐怖はやはり筆舌に尽くしがたいものがあります。
次回以降、二人がその事実とどう向き合うのか、そこが描かれることを期待します。あと2回(ですよね?)二人の物語がどこに向かうのか注目したいと思います。
あ、侑市(松岡昌宏)と尚の母(草刈民代)のロマンス的なアレは必要なんでしょうか…ちょっと疑問です。侑市の母親が出てきてどうこうなんていう変な尺の使い方はちょっと勘弁してほしいところです。
