「獣になれない私たち」第2回感想 | 感想亭備忘録

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相変わらずストレスフルなストーリーです。

徹底的に深海晶(新垣結衣)が追い詰められていきます。

新垣結衣さんは、表情の演技が非常に優れた女優です。目の動き、視線の向け方、眉の上げ下げ、口の動き、それらの微妙な変化、表現で様々な感情を伝えることができます。アップのアングルが続いても、美しさだけでなく大げさではない表情の変化で飽きさせない稀有の才能の持ち主だと思っています。

 

その彼女がほとんど張り付いた愛想笑いの笑顔と、沈鬱な無表情しか見せません。とんでもなくもったいない使い方です。

なのですが、根元恒星(松田龍平)と絡むことで表情が生まれてきました。困惑だったり憤懣だったり羞恥だったりネガティブな方向の表情ではありますが、晶の素の表情が現れて来ています。

 

そういうことなのかな?とちょっと方向性が見えた気がします。仕事でも、彼氏との関係でも、彼氏の母親との関係でも、忖度し気遣い遠慮し感情を抑えざるを得ない晶が、恒星との接触だけは素直に感情を表すことが出来る、そういう関係を見せようとしているんじゃないかと思います。

 

ただ、晶を追い詰める状況があまりにも理不尽で、ちょっとストレス要素がきつすぎる気がします。同僚はクズとよんで差し支えない無能かつ無責任揃いです。愛すべき部分が全くないただただシンプルにだめな人間を配置した意味が理解できません。だめなやつだけど愛すべき部分もある、のならまだしもほぼ唾棄すべき人物で何の救いもありません。

 

極めつけは彼氏である花井京谷(田中圭)です。あれはなんなんでしょう。1ミクロンも共感できません。前の彼女と同棲しながら新しい彼女を作る?肉体関係があろうとなかろうと明らかに二股ですよね。女性関係にだらしないモラルの欠片もない男と言わざるを得ません。田中圭・黒木華という素晴らしい俳優さんを配しているんで、何らかの展開はあるんでしょうが、現状のあの関係性は気持ち悪いの一言です。

 

まあそういう気持ち悪い関係、気持ち悪い職場に追い詰められて閉塞感の真っ只中にいる晶が、恒星との出会いで変わっていく、そういうところを見せてくれるんだろうとは期待していますが、正直しんどいシーンが多いですね。

 

それでも晶と恒星のシーンには、いい緊張感があり、どんな展開になるのか期待させてくれるワクワク感があります。もっとこの二人の会話を見ていたいと思わせる魅力があるように思います。

 

同じ野木亜紀子さん脚本の「逃げ恥」では

家政婦バイト→契約結婚提案→両親に報告→両家顔合わせ→同僚の訪問→残り香問題

と、盛り上がるエピソードてんこ盛りでしたが、今回はかなりゆっくりした進行になっています。、意図があってそうしているんだとは思いますがそろそろスピードアップしてほしいところです。