「僕らは奇跡でできている」第2回感想 | 感想亭備忘録

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全体はほんわかしているんです。

相河一輝(高橋一生)の楽しそうな雰囲気に引っ張られて見ているこちらも楽しくなってしまう雰囲気があります。

あ、ちょっとアスペルガーや自閉症を思わせる部分はもちろん持っていて、時には不愉快さを感じることもあるんですが、それにもまして好きなことに集中して幸せそうな一輝は魅力的です。高橋一生という俳優の力でもあります。

一輝の受け持つ学生たちもフィールドワークをきっかけに、彼の何でも楽しむ才能に引き込まれつつあります。

 

そう、全体的にはほんわかしているんです。ですが一話に一つ「寸鉄人を刺す」とでも言いたくなるような鋭いセリフが用意されているのです。前回は「人を見下すために、人から凄いと言われるために頑張るウサギ」という一言。

今回は「嫌いで嫌いでどうしても好きになれなくて、嫌いすぎて毎日泣いていました。………自分です。」です。

 

ほんわか優しい雰囲気の中に突然差し込まれる鋭い切っ先が印象に残ります。その言葉の意味は何なのか、どんな想いが、どんな経験が背景にあるのか。気になって注目するのですが、次の瞬間そんな言葉はなかったかのようにほんわかに戻っていきます。そこに惹きつけられます。

 

演出的に気になる部分はあります。

アリを見ながら「グッジョブ!」だの「どんまい」だのってのはいい加減しつこい気がします。樫野木(要潤)の使い方もあまり功を奏していないと思います。特異な人物である一輝と対照的な常識人として彼の存在があるのでしょうが、単なるやなやつっぽい人(本格的に嫌な奴という程の行動もしてないので)という中途半端な立ち位置です。

 

改善してほしいところは多々あるのですが、ほんわか甘い中に鋭く辛口の一刺しが入る基本的な構造自体は面白いと思います。次回はどんな一刺しが来るのか期待しています。