「高嶺の花」第8回感想 | 感想亭備忘録

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ラストはよかったですね。

芸術家たちが曖昧にさも神秘的であるかのように語っていた「もう一人の自分」というものの正体を直人(峯田伸和)があっさり言い当て、バッサリ切り捨ててしまうところはかっこよかったですし、エレベーターの中での直人ともも(石原さとみ)の抱擁はとても素敵でした。このドラマが恋愛ドラマであることを思い出させてくれるいいシーンだったと思います。

 

問題は、このドラマが描こうとしているもう一つのテーマ、「芸術」という魔物にとりつかれた芸術家たちの狂気や執念、それがうまく描ききれていないところです。

芸術という得体の知れない者に取り憑かれ、それから離れようとしても離れられず、普通の価値観をすべて裏切って犠牲にしてでも高みに上り詰めようとしてしまう狂気と言ってもいい衝動を描くことでそれと対極に位置するプーさんの存在の意味や価値が見えてくるはずなのです。

惜しいところでそれが描ききれていないように思います。

 

ももの動機が純粋に芸術に対する渇望でなく、母の遺言であることや、宇都宮(千葉雄大)の動機が異母兄への嫉妬であること。市松(小日向文世)ですら、今の所芸術を極めることよりも自分の血のつながった子供に跡を継がせることに執心していること。なな(芳根京子)の闇がももの言うようになまぬるいものであった事などが、芸術に関わる狂気を描く上で焦点がぼやけてしまう原因になっています。

市松はまだ腹に一物持っていそうですので一発逆転はあるかも知れません。

 

次回予告では宇都宮と兵馬の対決が映し出されていましたが、あまり描かれてこなかった神宮流の跡目争いを突然クローズアップされてもちょっと困ってしまいます。香里奈さん演じる千秋も今の所うまく使えているとは言えずキャラクターがだぶついているように思えます。

 

それらの問題点をカバーし、物語を締めくくるのはかなり難しいようにも思いますが、どんな展開が待っているのか期待する気持ちもあります。さてどうなることでしょう。