終わってしまいましたねぇ。
そうとしか言いようのない終わりでした。
なにもかもグレー。
白黒なんてつけない。
恋も仕事も音楽もグレー。
「価値があるのでしょうか。意味があるのでしょうか。」
手紙への問いかけへの答えは
「価値があることに価値はあるんだろうか。意味があることに意味はあるんだろうか。」
そういう問いを返したようにも見えます。
出会いのカラオケボックスで初めて4人で会話するシーンは印象的でした。嘘とたくらみから始まったと思われた4人が、実は最初の最初から「楽器を奏でる楽しさ、喜び」を共有する同類であると知っていたこと。それこそがこの4人の関係の一番の根本になっていることが種明かしのように描かれていました。
ラストシーンはカルテット4人の現状を象徴的に見せてくれました。
便利なクルマをちょっとしたアクシデントで降りざるを得なくなり、タイムリミットが迫る中、迷うはずのない場所で迷い続ける4人。迷っていること自体が楽しいようにも見えます。
閉じた世界で繰り返される日常、というファンタジー。
のように見えて全然閉じていなくて、
迫り来る現実が自分たちを追い立てようとしていることも充分認識しながら、色々決めなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことはありながら
Life goes on.
まあ、とりあえず、とにかく人生は続いていくということで。
変化や決断をを求める「現実」という見えない力に抵抗するように、変化しないこと、決断しないことを選んだ4人のしたたかさに嫉妬とあこがれを感じてしまいました。
本当に上質なドラマでした。癖はあるものの丁寧に考え抜いた台詞のやり取り。登場人物たちの醸し出すなんともいえない空気感。強いメッセージやテーマを感じさせないながらも見た人それぞれどのようにでも受け止めることが出来る、懐の広いシナリオ。見続けてきてよかったと思えるドラマでした。
DVDにはオーディオコメンタリーがつくようですね。誰が話すんでしょう。ちょっと見てみたいですね。