本書は、学校図書館を単なる「本のある部屋」ではなく、学校教育を支え、さらに学校そのものを変える可能性をもつ教育機関として捉え直している。
学校図書館法は学校図書館を「学校教育において欠くことのできない基礎的な設備」と位置づけているが、現実にはその意義が教育界全体で十分に共有されているとは言い難い。本書は、学校図書館に資料、人、サービス、ネットワークが備わり、図書室ではなく「図書館」として実体をもつとき、子どもの主体的な学びと教師の授業づくりが豊かになると説く。
全七章を通して、日本の学校図書館制度の成立と展開、1993年前後から高まった社会的期待、学校司書の実践の蓄積をたどったうえで、学校図書館の「教育力」を七項目に整理している。すなわち、多様な学習資源を自ら選べること、体系的なコレクションによって知の広がりに気づくこと、専門職による相談・援助、図書館ネットワークを通じた継続的な探究、情報の再構成と発信、知的自由とプライバシーの尊重、そして図書館を使いこなす生涯学習者の育成である。これらは抽象的な理念としてではなく、学校司書や教師による具体的な実践と結びつけて示される。
この教育力を発揮するための条件として、とりわけ最大の課題とされるのが、専門性を担保された学校司書を正規・専任職員として配置する制度の確立である。学校図書館の充実を学校教育の周辺的課題ではなく、子どもの学びと学校改革の中心課題として提示する、理論と実践を結ぶ一冊である。
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