著者は元日刊スポーツの中日番記者。『週刊文春』に連載された元中日ドラゴンズ監督・落合博満についてのノンフィクションで、一部読んだことがあるものもあった。全12章で、それぞれ一人の人物の視点が盛り込まれている。その中には選手・コーチだけではなく、フロントの人間もいる。読み応えのある、良質なノンフィクションだった。
☆☆☆☆☆
「日本のデジタル化は成功するのか、そのための条件は何か?」というのが、本書の問題設定である。今の日本はデジタル競争力が低く(特に人材面での水準が低い)、行政デジタル化も様々な事情から挫折している(そもそも困難な作業だが)。一方で、テレワークやオンライン授業など、社会のオンライン化は急速に進んでいる。そうしたなか「DX」や「メタバース」などが叫ばれているが、これをいったん落ち着いて考えようというのが、著者の立場である。
DXのキーワードになるのは「オープンソース」、「オープンデータ」、「クラウドサービス」の三つである。メタバースは仮想空間のことだが、その中にはAIエージェントがいる。このAIが人間の知能を超える時点を「シンギュラリティ」と呼ぶ。それがいつなのか、それは良いことなのか悪いことなのかについてはさまざまな立場がある。
著者は、DXにもメタバースにも落とし穴があるので、むやみに飛びつくのはやめようと言う。その上で、それらをどう活用するかを問題にする。これらの技術を支えているのはインターネットであるが、インターネットは分権的な構造を持っていて、膨大な情報が発信されている。その中で著者が注目するのが「集合知」である。しかし、日本に先行するアメリカを見てみると、フェイクニュースなどで分断を深めている。そこで著者は、日本はネット環境の整備を進めつつ、情報教育を深化させることを提言している。
☆☆☆
一発屋芸人・にしおかすみこのエッセイ。コロナ禍を機に実家に帰ったところ、母親が認知症になっていた。さらに父親は飲んだくれ(アル中ではない)で、姉はダウン症。それで「ポンコツ一家」ということらしい。かなり厳しいような気もするが、日常を明るくユーモラスに描いている。これで気分が明るくなるわけではないが。
☆☆☆
学習指導要領の改訂で中学校英語の範囲が変わったらしいので読んでみた。
ただし、本書は教科書通りの順番で説明しているわけではなく、中学範囲の英語を再構成して分かりやすく整理しているのだと思う。
なので、中学生が読んで分かりやすいというものではない。
タイトルに「再入門」とあるように、中学英語を経験したことがある大人にとって分かりやすい本だと思う。
内容的には、5文型をどう説明しているのかに関心があったが、あんまり踏み込んでいない感じ。
中学範囲だからなのかもしれないが。
☆☆☆
英和中辞典の定番の一つの『ジーニアス英和辞典』。新版が出ることをぐうぜん知ったので、買ってみた。
ふだん英和辞典を使わないので、手に馴染ませるために数時間ほど読んでみた。英和辞典の進化をずっとフォローしていたわけではないので、いつから変わっていたのかは知らないが、昔の辞典とはだいぶ違うという印象を持った。
もともとの売りだった語法の説明のためのコラムがだいぶ増えていた。あと、「英語史Q&A」というコラムが面白かった。今の辞書は「現在の英語だとこういう使われ方がされる」といった情報が増えているのかなと思っていたが、古い話もするのか。
☆☆☆☆
著者はロシア語の語学参考書で有名な人。取り上げられている内容は、言語とは何か、言語の音、文法、言語の分類などで、言語学がどういう研究しているのかをさらっと紹介している。参考文献も紹介されていて親切。言語学の「入門の入門」といった感じで、読みやすい。ただ、独特のくだけた文体がじゃっかん読みづらかった。
☆☆☆