本書は、学校現場で深刻化する教員不足の実態と、その構造的要因を多角的に明らかにしている。教員不足は2010年代後半から顕在化していたが、文科省の本格調査は2021年にようやく行われ、しかも「配当定数」を基準とするため、実態を十分に捉えることができていない。
教員定数は生徒数ではなく学級数を基準に決められており、学級が増えなければ業務量が増えても教員が増えない仕組みになっている。加配定数は単年度・目的別の運用になっているため、非正規依存を強め、自治体の裁量や人件費抑制、内部留保によって、名目上は定数を満たしていても学校現場では不足が生じる構造がある。
X県(おそらく神奈川県)の調査では、正規教員自体が大幅に不足し、その穴を臨任や非常勤で埋め、それでも足りない分を管理職や過重負担で補っている実態が明らかになる。特別支援学校や実技教科で不足は深刻で、雇用形態は極めて複雑かつ不安定である。少子化を見据えた採用抑制、特別支援学級増、自己都合退職や病休・産育休の増加が正規不足を加速させている。
著者は、行財政改革と教育改革が教員不足を生んだと論じている。学級規模縮小の停止、非正規化、免許更新制導入、業務量増大と長時間労働、給特法による残業代不支給が志望者減少を招いた。そして、教員不足は自治体の非正規依存と国の制度改革の帰結であり、公立学校を社会のライフラインとして、労働環境改善と長期的な定数政策が不可欠だと結論づけている。
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