読了。
「初詣」から始まり、「大晦日」で終わる、四季の言葉をテーマにしたエッセイ。
私は、津村記久子氏の感性がとても好きなので、列車の中で読んでいる時でも何度も「ぷっ」と吹いてしまった。(太字部分は本書からの引用である)
まぬけなこよみ (著)津村記久子
著者はじゃがいもが大好きだそうだが、
「わたしの人生の中で最高においしそうなじゃがいもは、小学三年の時に読んだケストナーの『点子ちゃんとアントン』で、アントンが作る晩ご飯として出てくる「塩じゃがいも」である」とあった。
「塩じゃがいも」とは?と思いつつ、読み進めていくと、
「昨日の残りの冷やごはんさえなかった、あるとても陰鬱な午後、(中略)なんとなく思い立って、じゃがいもをレンジでふかしてみた。その加熱時間中に、牛乳を少し加えた炒り玉子を作り、同じ皿に盛った。所要時間は四分。わたしは、炒り玉子の横にじゃがいもを置いて、フォークで割りながら、これはアントンが作っていた夕食と同じではないか、とはたと気が付いた」
ふむ・・・。『点子ちゃんとアントン』読むしかないかも。
車折神社の茅の輪くぐりについて書かれたところでは、
「車折神社は、嵐電の車折神社駅が最寄り駅である。嵐電とは(中略)途中、帷子ノ辻という駅で、立命館大学や平野神社のある北野白梅町へと向かう北野線に分岐する。(中略)「嵐電」は「らんでん」、「帷子ノ辻」は「かたびらのつじ」、「北野白梅町」は「きたのはくばいちょう」と読む。ここまでの文章における固有名詞の、音読みと訓読みの入り組み具合に、改めて日本語の難しさを思い知る」
なるほどねえ。「音読みと訓読みの入り組み具合」は大変難しい。
さらに、
「他にも嵐電は、「蚕ノ社」(かいこのやしろ)とか、「鹿王院」(ろくおういん)など、モヤリとしたものを心に残す駅名が目白押しである。しかも路面電車だ。路線の風景といい、恐ろしく味わい深い路線なのである。他の路線が紙だとしたら、嵐電は昆布である。いうなれば」
なんと、昆布!
めらめらと嵐電に乗りたくなるではないか。
著者が刺繍、手芸が好きであることは知っていた。
「刺繍が好きなのだけれども、毎日刺しまくっていると、図案集などで提案されている図案だけでは物足りなくなってきたのか」ご自分で描こうと、「そのうちすぐに図案集の鳥を刺し尽くしてしまうだろう、という危惧があった。ので、刺し尽くさないうちから、鳥の絵の練習を始めるという、不気味な段取りさんぶりを発揮していた」
うむ。「毎日刺しまくっている」とは!
しかし、世の中に詩集の図案集は数あまたあるだろう・・・と思うのは私が「素人」だからだろうか。
ちなみに、私が好きな刺繍の図案集は、
樋口愉美子氏。「くっ」とくる。ただ見ているだけで素敵。
また、青木和子氏の作品も素敵。こちらはエッセイと刺繍の本らしい。
読みたい!ちなみに青木和子氏の作品には鳥も多い。
著者はツバメが好きで、「ツバメが迷惑がっても作る。刺しまくるぞツバメ。でも問題が一つある。刺しまくれるほど、ツバメの図案というのはないのだ」
なるほど。ツバメ。確かに、ツバメと特化すると、「刺しまくって」いるうちに図案を探すのは難しいかもしれない。
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で、紹介されていたお菓子をいろいろ取り寄せたり、求めたりしている。
フリーアナウンサーの城ヶ崎祐子氏のお勧めの「小藤屋」の「お好みかりんとう」。
これは「小藤屋」楽天市場ショップで。
非常にお手軽な価格で、軽くて美味しい!
フォトグラファーの平間至氏の「たぬき煎餅」の「チーズサンド たぬ吉」
こちらは「渋谷ヒカリエ ShinQs」に「東横のれん街店」で求めた。
「昆布巻」が特に美味しい!
チーズサンド系は、「あけぼの」の「海苔チーズサンド」がかなり好きだが、こちらのチーズサンドはかなりエアリーな感じ。うむ。楽しみが増えた。
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こちらは神楽坂「菓の子や」で求めたお菓子「福久楽(ふくら)」。
おかきにチョコレートをしみこませたものだそう。
これが又、何とも言えない食感で、大変美味しい。
エアリーなチョコレートかというとそうではない。柔らかいチョコレート味のおかきかというとそうでもない。うーむ。