勝手に論愚選 【日経俳壇2024.06.01】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024.06.01】
[横澤 放川 選]
新宿を少女遁走修司の忌 (浜松 宮田 久常)
(評)寺山修司は俳句から演劇に至るまで、若い世代に大きな影響を与えながら、前衛的といえる活動のなかに生涯を送った。今しかし都会の混迷のなかでこんな遁走劇が。
村中の家南向き鯉幟 (大垣 大井 公夫)
〔評〕なんとも桃源郷とも湛えたくなる風景ではないか。こういうものを原型的な暮しというべくで。
地縛りに片足取らる作業径 (宇都宮 五十嵐 藤重)
(評)じしばりは畦を這うようにして蔓延する草だ。めひしばも同じ名を持つ。いかにも作場径だ。
逃水を追ひて八十路になりにけり (名古屋 平田 秀)
夏蝶に風弄ぶちからあり (水戸 安達 とよ子)
水笛に応へる小鳥春うらら (広島 村越 緑)
ひらがなの風にまはりぬ風車 (大和 おおもり じゅん子)
生まれたる子犬動くや蘆の角 (三豊 小野 明則)

[神野 紗希 選]
古稀ですがシュノーケリング始めました (仙台 赤石 悦子)
〔評〕何歳になっても新たな扉は開けるという希望の嬉しさ。口語の報告調に血が通った。
峠より返るこだまや朴の花 (東京 火埜鬼王)
〔評〕こだまが無尽蔵な空間の奥行きを響かせる。朴の花もゆたかに遠近を作って。
豆飯や筍飯が返り来る (横須賀 丹羽 利一)
協会のアンネの薔薇よガザの子よ (東京 本城 清)
たつた今といふかんじの糸とんぼ (北名古屋 梅田 昌孝)
ロザリオのやうに長きも花木付子(きぶし) (東京 山口 照男)
魂を手放すように夕蛍 (東京 芦田 晋作)