勝手に論愚選 【日経俳壇2024.05.11】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024.05.11】
[横澤 放川 選]
玄鳥(つばめ)至る海警船の向ふより (札幌 島田 清純)
(評)例の国の海警局の艦船をいうのだろう。人間らの無際限の支配欲とは全く関わりなく、その紛糾の海を越えてつばめは渡ってくる。
畦塗りを終へ地震(なる)の地の畦塗りへ (名古屋 加藤 國基)
(評)作者がとも思えないが、想像してみたい。両次震災の折にも他地域の人々が支援を惜しまなかった。畦塗りっも田植前の一大事にて。
この世をば花と楽しむ母白寿 (名古屋 平田 秀)
(評)美しい句だ。天寿というものは生田の苦労を経たのちには、うからとのこんな安寧にありたい。
トラックに見せて渡るやかざぐるま (東京 酔 舟)
(評)現代社会の一光景を優しい心根でカッティングしてくれた。運輸他の労働と幼年の恙(つつが)なさとを。
満額を囃す雀ら朝桜 (東京 金子 文衛)
春風が十頁ほど先を詠む (千葉 中村 重雄)

[神野 紗希 選]
蛸壺が郵便受や島薄暑 (名古屋 後藤 春子)
(評)蛸壺を郵便受けにしたお宅とは、いかにも島らしい。海と生きる暮らしだ。
掌に眠るはぐれ子りすや若葉風 (川崎 平澤 元康)
犇(ひし)めける水音雷の轟きに (徳島 雫 俊一)
雑魚出汁を塗(まぶ)す筍おじやかな 国分寺 野々村 澄夫)
蟇(ひき)出でて千年前の顔見知り (東久留米 松本 こういち)
蝶といふ歯車のなき躰かな (名古屋 磐田 小)
歌ひ出しさうな遺影ね蕨餅 (白山 秋野 しら露)
恋はよく歩きましたね銀座初夏 (東京 吉田 かずや)
晩年にシナリオはなし黄砂降る (東海 斉藤 浩美)