勝手に論愚選 【読売俳壇2024.05.06】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【読売俳壇2024.05.06】
咲き休み散り休みつつ花は葉に (羽村市 竹田 元子)
(評)古典的な味わいがある。万葉よりもゆったりと新古今調か。花を眺める余裕もいい。花の終始を詠って見事である。動詞四つに、それぞれ小休止を置いて詠む。
鰻屋の多き参道鷹女の忌 (鹿嶋市 津田 正義)
ネギ坊主一年生に坊主無し (日野市 広山 弘子)
嬉しさは古巣に来たる初燕 (滋賀県 中沼 克司)
親友の桜と共に老いにけり (埼玉県 吉野 利美子)

[高野 ムツオ 選]
連翹(れんぎょう)の揺るるは楽し老いたのし (三条市 星野 愛)
(評)「楽し」の繰り返しに実感が溢れる。春到来の喜びも生きる喜びも、人生の残り時間が少なくなってこそ深くなる。老いることは面白いのだ。
河跡湖のやうに春三日月ひやり (香芝市 山本 合一)
経(たていと)の日矢緯(よこいと)の初燕 (伊勢崎市 大和 とき子)
(評)縦糸が雲間を洩れる日差し、横糸が燕の無数の見えない飛行跡。春の大空に展開される壮大な機織り。
たんぽぽや一人で歩くだけのこと (宮津市 山口 敏子)
風車子の息に足す母の息 (神戸市 西 和代)
身震いをして雪吊の解かれけり (八王子市 斎賀 勇)
玉子割る音に始まる春の朝 (宍粟市 宗平 圭司)

[正木 ゆう子 選]
母の日の母をひとりにしてあげる (長野市 なかさと れん)
夫以外みごと女系の桜餅 (船橋市 中島 かず代)
わが死なば花大根を投げ入れよ (福岡県 吉田 雄二郎)
羊膜に濡れ子牛立つ春の月 (宗像市 泉 勝明)
そのことを今は忘れて夕桜 (八王子市 梅沢 春雄)

[小澤 實 選]
ハンバーグの中よりチーズ花の雨 (福岡市 星加 雄二)
ジャンピングキャッチのサード風光る (堺市 土居 健悟)
私語多き保護者席なり卒業式 (甲府市 村田 一広)