勝手に論愚選 【日経俳壇2024.05.04】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024.05.04】
[横澤 放川 選]
汚染土を倦(う)んず鴽と為る田鼠(でんそ) (大船渡 桃心地)
(評)鴽というのは鶉(うずら)のこと。田鼠化して鶉となるは七十二候のひとつ。田面へ出たはいいが不安におろおろと鶉めき走るのみ。
忘れめや移籍一号月日貝 (柏 藤好 写ぽ)
(評)こんな暢気な遊びごころも俳句の歴(れっき)とした一面なのだ。月日貝は裏表で色が違う。エンジェルスからドジャースへ。赤から青へと。
銭湯に三本の杖あたたかし (倉敷 山本 一穂)
夫へ吾へ妣の文出づ鳥雲に (水戸 安達 とよ子)
独り生くと決めて万朶の桜かな (国分寺 越前 春生)

[神野 紗希 選]
貝塚に出でし人骨星朧 (柏 物江 里人)
(評)縄文の遺跡の上、星は朧に滲む。古の人もこの光を仰いだか。貝も人骨もしろじろと命のかけらだ。
ネモフィラを言い違ひけりモルヒネと (小平 中澤 清)
ヌートリアの駆除の相談猟名残 (浜松 中川 正男)
とんかつや薩摩訛りの新社員 (志木 谷村 康志)
命日の花芽草の芽木の芽かな (東京 筑史 善正)
近づけば逃げ出しさうな蕨かな (神戸 井上 徳一郞)
春愁やジャムを掻き出す匙の音 (東京 後藤 周平)
駅弁に小さな桜餅一つ (町田 鈴木 眞理子)