勝手に論愚選 【産経俳壇2024,05,02】【産経テーマ川柳】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【産経俳壇2024,05,02】
[宮坂 静生 選]
まほろばへまほろばへ鮎上るなり (名古屋市 可知 豊親)
(評)古語まほろばは優れた地、高みをたたえる意。そこへ晩春に若鮎が遡上する。「鮎上る」は夢膨らむ季語。句はa音とo音の響きが楽しい国褒めの作。
水取の松明つくる名張かな (伊賀市 福沢 義男)
春みぞれ軍手磨きの杉丸太 (枚方市 足達 京子)
水草生ふ行く当てもなく来しところ (川崎市 小関 新)
蝶やがて己が影へと止まりけり (我孫子市 森住 昌弘)
家の者が眠りについて朧月 (鶴ヶ島市 寺坂 睦子)
撃つな撃つな撃つなよ新美南吉忌 (大船渡市 桃心地)
うぐひすを入れ豊かなる握りめし (枚方市 船橋 允子)
アンカーのきかぬ春潮知盛忌 (東京・世田谷 野上 卓)

[対馬 康子 選]
猛き花かがり火の如ひとを抱き (浦安市 岡 研一)
(評)桜の花は情念をかきたてる。それはときに猛々しいほどに、その夜桜の下で焚くかがり火のように赤くゆらめき人を抱く。人が人を愛する神聖な思いがする。
蕗味噌やソシュール開く昼の酒 (大阪市 渡辺 たかき)
菜の花や遠く遠くに父ひとり (浦安市 栗原 亮一)
殊更にミモザ眩しき世なりけり (山梨市 石田 初江)
春愁や耳が聞こえて目が見えて (和歌山・由良町 上本 郁子)
春の道雑木林の中にあり (宇陀市 泉尾 武則)
母送るバッハのアリア春深し (流山市 小林 紀彦)
啓蟄やわが半身は穴の中 (姫路市 曽我 節子)
つばくろが子犬のように首を振る (堺市 山根 秀一)
笑ひたる山懐に灯が点る (草津市 中村 恵蔵)

【産経テーマ川柳】テーマ 親
手を挙げた子よりドキドキ参観日 (神戸市 野崎 初人)
楢山に非ずホームに親送り (東京・目黒 川村 亮介)
親業を終えりゃ介護の親が待つ (茨木市 中野 澄男)
あっさりと親が認めて冷めた恋 (倉敷市 中路 修平)
古稀越えて白寿の母に注意され (寝屋川市 長野 芳成)
偶数月元気ですかとすねかじる (泉大津市 寄田 護)
新入生の数より多い親の席 (三田市 影山 順子)