勝手に論愚選
【産経俳壇2024.04.18】
[宮坂 静生 選]
鉄板は春のキャベツのリングです (尼崎市 永田 圭司)
(評)旬の春キャベツ。鉄板の上でお好み焼き。スパイスたっぷり、味がつけられ、あっちへごろごろ、こっちへごちゃごちゃ。自由自在に遊ばされる。
産着きて生えてくるのかふきのとう (枚方市 加藤 美保子)
啓蟄やひらひらと出る美容院 (山梨市 石田 初江)
凍て切れぬ千筋(ちすじ)の滝に宿る神 (国分寺市 野々村 澄夫)
素見(ひやかし)のやがて購(あがな)ふ植木市 (羽曳野市 岡田 猛)
冬鵙やくづれさうなる築地塀 (和歌山市 小栗 正子)
合戦の雄叫び聞こゆ武者絵凧 (枚方市 船橋 允子)
[対馬 靖子 選]
春天や想像力の響く距離 (横浜市 前島 康樹)
(評)春は思いのほか天気が荒れ体調も崩しやすいが、作者は空を見上げて想像力をふくらます。それによって天空と地上のわれが響き合う。至福の瞬間が伝わる。
聖書より父の断簡冴え返る (東京・渋谷 山口 照男)
スパークスパーク赤子の脳の中や春 (湖西市 四条 たんし)
三陸忌無韻に踊る磯巾着 (福岡市 玉野 忠)
ふらここや親子の夢のすれ違ひ (須賀川市 関根 邦洋)
カレル橋似顔絵描きの春外套 (葛城市 山本 啓)
【産経テーマ川柳】テーマ パスワード
「チガイマス」三度言われて周囲見る (茨木市 中野 澄男)
パスワード覚えているが何のだろう (東京・板橋 クニロー)
どの孫の誕生日だったっけパスワード (八王子市 橋本 英子)
パスワード老いた夫婦を振り回す (豊中市 伊藤 恒一)
ボケ具合試されているパスワード (加須市 幸田 武生)