勝手に論愚選 【日経俳壇2024,01,27】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024,01,27】
[横澤 放川 選]
母老いて湯気しみじみと大根焚 (寝屋川 川上 純一)
(評)だいこだきは鳴滝了徳寺の師走の行事。この寺が親鸞を煮大根でもてなしたことに因む。湯気の柔らかさにいのちながを思うのだ。
蒲団干す家を仰ぐも宿世かな (愛西 小川 弘)
(評)行きずりに仰ぐ家にもその家の暮しがある。それがまた自分の身を省みさせることも。宿世というのはときに切ないことばだ。
鵙の腹黄金に照らす朝日影 (浜松 櫻井 雅子)
(評)けざやかな写生句に仕上がっている。この猛禽に相応しい。
鳴り渡る鐘は南都かおん祭 (兵庫 小林 如水)
あつさうの帝も遥か薺(なずな)粥 (東京 朝田 黒冬)
重ね着の奥にくぐもる着信音 (倉敷 中路 修平)
葱刻む「藍生」終刊熟熟と (長野 中澤 義壽)
オリオンの殊に四隅の冴返る (鯖江 木津 和典)

[神野 紗希 選]
地震の夜細る心にオリオン座 (金沢 甚田 和幸)
(評)一変した大地、変わらぬ夜空。オリオンの光は不安な心を支えるか。
能登の地震寝ずに明けたる二日かな
右脚は能登方面か冬の虹 (射水 赤江 直人)
被災地へせめて日差しを福寿草 (宇部 早川 眞佐子)
妻と無事避難所とある初メール (尼崎 池田 誠喜)
水仙や覚束かぬまま能登暮れて (越谷 佐倉 羊子)