勝手に論愚選 【読売俳壇2024.01.22】 年間賞 俳句① | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【読売俳壇2024.01.22】
[矢島 渚男 選]
朝六時猟師仲間は山に散り (和歌山市 針谷 国光)
再会の手袋咥へ脱ぐ握手 (久慈市 深沢 ふさ江)
雪だるま傾げた首を直しやる (一関市 高橋 紗智子)
東山角曲がるたび除夜の鐘 (京都市 吉田 基子)
帰り花手に産休のお父さん (牛久市 中村 英子)

[高野 ムツオ 選]
戦争に戦争重ね年暮れる (高松市 島田 章平)
狐火や紐の栞の切れており (前橋市 山本 亨)
山細り痩せて冬眠儘ならぬ (国分寺市 野々村 澄夫)

[正木 ゆう子 選]
ごみ出しと犬の散歩の年暮るる (川越市 益子 さとし)
雪の質足に聴かせる家路かな (青森市 前田 亨酔)
補聴器を外せば唸る冬籠り (西東京市 高科 謙称)

[小澤 實 選]
ただネット張るだけ鹿除けの垣は (宝塚市 広田 祝世)
薬喰営業課女子四人組 (志木市 谷村 康志)
闇汁や私の箸はかたきもの (唐津市 室井 加代子)
十台のロボットもいて煤払 (新潟市 古泉 浩子)

年間賞 俳句①
暑すぎて白熊氷にも寄らず (宝塚市 広田 祝世)
(評)「マフラーの長さは二人分だけど・関根ともに」「新緑のしずくを集め五色沼・吉村惠子」「折りたたむ如くに暮るる秋の空・高橋広子」「自転車は風の乗り物いわし雲・加田紗智」など多くの秀句に恵まれた中から広田さんを挙げる。猛暑の動物園を描き、俳諧のうちに悲哀をこめた面白い句である。(矢島渚男)

教室のみんな見ている秋の虹 (総社市 風早 貞夫)
(評)授業中であろうか。休み時間であろうか。窓辺のひとりが「虹だ」と声をあげる。教室のみんなが窓辺に目をやり空を見上げる。先生のほうを見ていたり、机の上の教科書やノトを見たりしている生徒は一人もいない。虹はたちまち消える。「秋の虹」なのだが、皆で澄み切った青い空を見ている。(宇多喜代子)