幼稚園の頃、ワイルドの『しあわせの王子』をくりかえし、くりかえし読んでいたことを今でも鮮明に覚えています。世界童話全集の中の1話だったのですが、このお話だけがとても好きでした 王子さまの挿絵もつばめの挿絵も、全く同じではないのですが、とても懐かしく感じます。
『しあわせの王子』 ワイルド 原作 ・ いもとようこ 文絵
金の星社
この名作を残してくれただけで、オスカー・ワイルド様を永遠に私は称賛したい気分です。ただ、あの『ドリアン・グレイの肖像』を描いた人物と同一とは到底思えませんが…… そのギャップがまた魅力的
<おはなし>
生きていた頃は街の人々の様子など気にしたこともなかった王子さま。銅像になり動けなくなってから、街中のいたるところに苦しんでいる人々を見つける。病気の息子に薬を買うお金のない母親、屋根裏に住む若者たち、寒さの中マッチを売る少女……。それらを見るに見かねて、群れからはぐれた一匹のつばめにおつかいを頼む王子さま。
王子さまは、剣のルビー、サファイアの瞳、体に貼られた金箔を、どうか苦しむ人々に運んで欲しい、という。
早く南の国へ行かなければならないつばめだったが、王子さまの想いを受け、お使いをし続ける。
サファイアを貧しい人々に捧げ、とうとう両目が見えなくなった王子さま。つばめは、王子さまのそばにずっといて街の様子を伝えたい、だから南の国へは行きません、と言い出す。
そして、冬が来る。寒さのせいでつばめは王子さまの足元で息絶えてしまう。それを知った王子さまの心臓は2つに割れ、壊れてしまった。
金箔をみなに分け与えたため、王子さまの体は灰色でみすぼらしい姿に変化していた。それに気づいた街の人々は、王子さまの銅像など不要だと最後に壊してしまう。
それを天から見ていた神様は……。
今読んでも、読むたびに涙が出ます
これは、まさに富の再分配が目的である、政治学の原点だと思います。
私の甥と姪の双子ちゃんが3~4歳になったら、絶対に、強制的にでも、いくらクソババアと嫌われようとも、『しあわせの王子』を朗読してあげます。もちろん、アンデルセンの『みにくいあひるの子』も。
この2つの物語を刷り込まれたら、思いやりのある子供に育たないわけがないでしょう 物語には力があります。私にも子供がいたら、素敵な童話をたくさん毎晩朗読してあげたのになぁ~。それだけは叶えられず残念です。
そういえば、昨年イギリスで暮らした間にオスカー・ワイルドの家を訪ねることが出来て、私は本当に幸せだったと改めて感謝の心でいっぱいです。
過去記事はこちら♪
↓↓↓
オスカー・ワイルドとジョージ・オーウェルの家(写真つき)
http://ameblo.jp/london-paris/day-20090510.html
最後に、金の星社から出ている『しあわせの王子』の文と絵をご担当された、いもとようこ氏のことばをどうぞ。
イギリスの作家
オスカー・ワイルドの名作。
ざんこくで、かなしくて、
やさしいこのお話。
だれもが胸をいためることでしょう。
いもと ようこ