夏の終わりの酒・・昭和回顧と東京の記憶 | のすたる爺の電脳お遊戯。

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北国の港町に生息する莫迦親父な生き物が
日々の手遊びを時に駄文で綴り
また戯れ絵で遊ぶ、泡沫の如き代物。

ビアガーデンの熱気と喧騒とハワイアンの生バンドが終わり掛け

ビアホールのジョッキにまとわりつく冷気が幾分冷たいと思う夏の終わり

 

其のころ飲むキリンの古いラガーかヱビス・・昭和男の贅沢ビールだった。

 

サッポロは妙に薄い気がして何となくだったし

アサヒはスーパードライ出して以来ビールじゃねえ、と・・

思い込みまた広言もしてた若い日だったが・・

 

 

ビールは苦み、それもアルコールに混じった夾雑物と

ホップの精が醸し出す微妙な味わいはラガーが好い。

 

まあ、ビールとしちゃ最後発の新しいビールなんだが・・

 

黒もエールも時に旨いけどね、

日本人はキリンラガーだろうなあ。

 

個人的にはヒューガルテンという白ビールや

常温で旨いシメイ・トラピストとかも好きだったけど

今は酔うほど飲めないから哀しい。

 

病はのすじいから色んなもの奪っていったし

此れからも奪い続けるだろうと思いつつ綴るビールの話は

実のところ、結構切ないのだな・・独りの夜には。

 

 

秋が深まると出て来てたおでんの屋台も好かった。

 

冷やすのが大変なのか瓶のビールは殆どおいて無く

缶ビール自販機で買って1本10円の持ち込み料・・

 

白乾児(パイカル)ってえ高粱焼酎舐めたり

何処の酒か判らん出所怪しい熱燗で無きゃ飲めぬ酒

アルマイトのちろり八勺、二人で分けて飲み

安いタネから選んで喰って親父に冷やかされつつ

最後はお姫さんにおみやだ、と大根と玉子とつみれ

ビニール袋に入れて持たしてくれた巣鴨駅前の・・

 

 

 

 

まあ、そうやって泥酔させた小娘は酒精漬けの肉塊だが

ほんのり酔わせたレベルだと時に酷く可愛い。

 

口説きと甘えと愚痴と妙な恋情が

其れこそカクテル状態で漂いだし

もう逆に我慢が効かなくなってくる。


愛おしさ故のある種の破壊欲が沸々と滾り

こいつ、泣くまで無茶苦茶にしちゃろうか、と

切れかかる理性を抑えるのに唇噛む・・


其処に沁みたストレートの焼酎のアルコールは

世に稀な、=幸福な痛覚=だったやも知れず。


大概は二匹で酔いつぶれて丸まって

まんま寝ちゃうんだけどな・・行為に及ばず(笑)


あの時の微かな倦怠の中に

本当の幸福があったのだ、と

永久に失ってから気付いた・・

 

やっぱり自分は=愚か=だと

心から思うのだな・・

独り死を待つのみの晩夏の夜には。