ああ、昭和の場末繁華街のスナックの記憶が・・ふっと浮かぶ晩夏。
昼は喫茶と軽食で、夜、微妙にアルコール出すような、
有線で延々とポール・モーリア流れてそうな、
コークハイのウィスキーが異様に安酒のわりに
妙に本場っぽいバーボンのキープボトルあって。
マスターとちょい悪そうな美人の奥さんが営んでて
時々妙な埼玉訛りが覘く東武東上線沿いの駅の路地の。
そんな煤けた風情の店に・・幼いが乳のでかい
脳足らずで邪気の無い娘、連れ込んでカウンターで飲む。
故郷のはなし、せがまれて蒸気機関車の夜の汽笛と
遠く響く鉄路のおと、口真似して笑わせながら・・
いつしか連れのちび娘の目がとろん、となり
上半身を寄せ預けてくるくらいのほんのり具合まで、
スクリュードライバーとミモザ飲ませてやって・・
最期は・・アパート泊まるのぉ?と甘え声出すのを
ほろ酔いの勢いでラブホじゃなく連れ込みへ這い込んで
此処なら思いっきり声出していいぞ、と
いっぱしのワルっぽく呟いたりしつつ
財布の中身を胸中で確かめて・・ふと切なくなり・・
綺麗なホテルとかじゃなくて、ゴメンな、と
聞こえぬ小声で呟いたあの頃の・・
東京場末の夜の街のスナックで呑みてえ、と、ふと。(遠い目)