繰り返しになるが,
改めて多くの人に知られていない事実を書きたい。
現在の日本の英語教育における語彙数は,2021年の改定により以下のようになっている。
小学校600~700語。
中学校1600~1800語。
高校1800~2500語。
以前よりはかなり増えたのだが,今混乱を招いているのは,単に「語数」の問題ではない。
ポイントは小学生における600~700語だ。
「英語に触れる」というのが小学英語のコンセプトなので,「書いて覚える」という指導方針ではない。
よって会話やさまざまなシチュエーションのなかで「触れる」ことはあるだろうが,書く練習などは行われていない。
そして中学に入学し,本格的に「書く英語」が始まるのだが,この時点で小学校における600~700は「書ける」ことになっている。
繰り返すが,単語はおろかアルファベットすら正確に書けない新中学1年生たちも多い中,いくつかの単語は知っているし書けることが前提で授業が進んでいく。
彼らからすれば「習っていない」はずなのだが,お構いなしに授業は進み,もちろんテストにも出題される。
したがって,もし英語が苦手な生徒がいたとしても,それは必ずしも学校の授業をちゃんと聞いていないのではない。
授業にどれだけ真面目に取り組んでいても,指導を受けていないことはできなくても仕方がない。
民間の英語塾をはじめ,普通の学習塾に通っている生徒も多く,その生徒たちがクリアしているからほとんど表面化していないが,英語は「もっとも大切な基本的な確認」を学校ではやらないことになっている。
国の建て付け自体がそうなっており,それに対して誰も問題視しないし,誰にも責任はない。
ただ,最近は英語が苦手な生徒が多いねー。とか,二極化しているよねー。のように世相として語られるだけだ。
しかし現実は「できるはずがない」のだ。
だれも教えていないしどの時期においても,訓練させ,できたかどうかの確認などしていないのだから。
ちなみに英検準2級を持っている中学生でも学校のテストは70点くらいというのはよくある話。
授業で教科書を使用しない先生もたくさんおられる。
何をやらせ,どの能力を備えるべきか,という英語への解釈が指導者側においても360度多方面に広がっている。
誰かが、これこそが英語だ!といって指導をしても,もしそれが定期テストや入試からかけ離れたものだったら,それが果たして生徒のためになるだろうか。
いまだに英語については指導者たちの間で方向性が定まっていない。そしてその最大の被害者が中学生である。
残念なことだが,現実論として,独学ではほぼ不可能である。
LOGOSでなくてもどこでもいいので,学校外の専門の指導を受け,すべきことの指示をもらわないと入学後数日のうちに「英語が苦手」な生徒になってしまう。
そしてさらに残念なことだが一度「苦手意識」を持ってしまうと改善する手だては少ない。
2年生になってもsとcの区別がつかないのは,決してその生徒の能力の問題ではない。
それだけは声を大にして言っておきたい。