2025年10月23日付けのデイリー新聞が、
『日本テレビ 国分太一側に強く抗議・反論 取材に「誠に遺憾」「関係者特定につながりかねない情報を一方的に公表」 国分の降板決定「弊社手続きに特に問題はない」』
と題した記事を報じていました。
多くの方が、マスコミ報道でご承知の通り、タレントの国分太一さんが、「パワハラ」など「コンプライアンス上の問題」を理由に、2025年6月に日本テレビの番組を降板しました。
しかし、報道によると、国分太一さんは、具体的に「誰に対するどの行為が問題だったのか」を日本テレビ側から知らされていないそうです。
したがって、国分さん側が「人権救済」を申立てするのは、筆者は、当然だと思います。
以下に、この記事を要約し、「国分太一さんの番組降板に関するプロセス」について、日本テレビ側の問題点を考察しました。
《記事の要約》
日本テレビは2025年10月23日、元TOKIOの国分太一さんが同局の番組「ザ!鉄腕!DASH!!」を降板させられた経緯について、人権救済を日本弁護士連合会に申し立てた件を受け、強く抗議する声明を発表した。
国分さん側の代理人である菰田優弁護士が同日会見を開き、日テレの対応に瑕疵があったと主張したことに対し、同局は「協議の最中に一方的にやり取りの内容を公表した」として「極めて遺憾」と非難した。
この問題は、日テレの福田博之社長が6月20日に「国分氏に複数のコンプライアンス違反があった」として降板を発表したことから始まった。
社長は「深刻な事態」と述べながらも、プライバシー保護を理由に詳細を明かさなかった。その後、同局はガバナンス評価委員会を設置し、9月の定例会見で「委員会から一定の評価を得た」と説明していた。
今回、国分さん側は「日テレが本人への聴取前に降板を決定していた」と指摘したが、同局は「事実誤認」と反論。
「国分氏のヒアリングは本人の了承を得た上で実施し、本人も違反を認めていた」と主張した。
また、「関係者のプライバシーを最優先にして対応した」として、情報公開を控えた正当性を強調している。
しかし、国分さん側との対話が決裂し、両者の主張は真っ向から対立。テレビ局とタレントとの関係、そして報道機関としての説明責任が改めて問われている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<「国分太一さんの番組降板に関するプロセス」における日本テレビ側の問題点>
日本テレビの対応で最も問題視されるのは、「透明性の欠如」と「報道機関としての倫理的矛盾」である。
国分太一さんの降板は「複数のコンプライアンス違反」を理由としたが、その内容は一切明かされず、本人への聴取の時期や手続きも不透明なまま発表された。
この過程で、本人の意見や弁明の機会が十分に保障されたのかが疑問視されている。
まず、同局は「プライバシー保護」を理由に情報開示を拒んでいるが、一般視聴者から見れば、報道機関として日常的に他者の不祥事を報じる立場にある以上、自社案件だけを「人権保護」の名のもとに封じる姿勢は自己防衛的かつ矛盾した態度と映る。
「事件報道では被害者の実名や顔写真を出すこともあるのに、自社問題では一切非公開」はダブルスタンダードであり、社会的信頼を損なう。
また、ガバナンス評価委員会による「適切だった」という自己評価も、外部の独立した調査機関ではなく社内的な仕組みにとどまっている。
「社内で社内を評価する」構図では客観性が担保されず、説明責任を果たしたとは言い難い。第三者性の欠如は、報道機関としての自律的監査の信頼性を著しく損ねる。
さらに、国分氏への「ヒアリング了承済み」という説明も一方的で、実際には心理的圧力や選択肢の欠如の中で同意を得た可能性が否定できない。
これでは「手続き的正義」を満たしていない。本人が弁護士を通じて人権救済を申し立てた背景には、単なる名誉回復だけでなく、「公正なプロセスが踏まれなかった」ことへの不信感があると見られる。
本件の根本的な問題は、コンプライアンスの名のもとに、個人の尊厳を後回しにした組織的過剰防衛である。
フジテレビの類似問題への反応として「早期に切る」判断を下した可能性が高いが、それが法的・倫理的に適正だったかは別問題だ。
国分氏のような長年の功労者をめぐる処遇であれば、世論や関係者の納得を得る説明が不可欠だったはずである。
結局、日本テレビは「人権保護」と「会社防衛」を混同し、真の説明責任を果たさなかった。報道機関としての使命は、事実を隠すことではなく、社会に対して説明し、透明性をもって信頼を築くことにある。
今回の対応は、まさにその理念を自ら損ねた事例といえる。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ982号より)
 
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