2025年10月5日付の日本農業新聞が、

『干し芋ブーム続く スイーツの地位盤石 ターゲット絞り市場拡大も』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、干し芋の今後について考察しました。

 

《記事の要約》

蒸したサツマイモを乾燥させた干し芋の人気が続いている。高糖度でねっとりした食感の「べにはるか」など新しい品種が登場し、健康的で自然な甘みをもつスイーツとして定着したことが背景にある。

 

農水省によると、2023年の干し芋の産出額は約100億円と10年前の1.7倍。全国シェアの大半を占める茨城県では、生産・加工・販売が一体となり、地域経済を支える柱となっている。

ひたちなか市の幸田商店は国内流通量の約2割を占め、売上は10年で倍増の28億円に。

スーパーやコンビニなど販路も拡大し、干し芋ブームを牽引している。

保存食だった干し芋は、今では「甘いスイーツ」として若年層や観光客にも浸透し、直売所では冬場の売上の8割を占めるほどだ。

 

青果の10倍以上の価格で販売できる高付加価値商品であり、生産農家の所得向上にも寄与している。

例えば、べにはるかを干し芋に加工して販売する農家では、青果1箱2500円に対し、干し芋1キロ2900円で販売するなど収益差は大きい。

また、アスリートや子ども向けなど新たな需要を掘り起こす動きも活発だ。

栃木県の戸崎農園はスポーツ補食用「フィジーモ」を開発し、地元チームにも採用された。矢板市の壮関は「こどもと食べるほしいも」を発売し、ベビー用品店に販路を広げた。

干し芋は今や健康志向と提案力が融合した「地方発の成功モデル」となっている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<干し芋が人気の理由と今後の需要予測>

干し芋人気の背景には、「健康」「嗜好」「多用途化」の3要素がある。

まず健康面では、食物繊維・カリウム・ビタミンが豊富で、砂糖を加えず自然な甘みを楽しめる「罪悪感のないおやつ」として評価されている。

特に現代人が意識する“腸活”や“間食の質向上”と合致し、子どもや高齢者にも安心して食べられる点が強みだ。

幼児にも人気があり、「菓子より身体に良いおやつ」として定着している。

 

次に嗜好面では、2000年代以降の「ねっとり系品種」の登場がブームを後押しした。

かつては硬く素朴だった干し芋が、「べにはるか」「安納芋」などの登場でスイーツ並みの甘さを持つようになり、焼き芋文化からの派生的第5次ブームを形成した。

この「進化した伝統食品」が、現代の健康志向とスイーツ需要の双方を満たしている。

 

三つ目の要因は「用途の多様化」である。スポーツ用補食や子ども用スナックなど、ターゲットを明確化した新商品が続々登場。

エネルギー補給や携帯性を重視したアスリート向け「フィジーモ」、ベビー向けの「こどもと食べるほしいも」など、機能性と利便性を両立させた商品展開が進む。

干し芋は軽量で保存性が高く、キャンプや防災食、海外市場への展開にも適している。

 

経済的にも干し芋は高付加価値を生み、1キロあたり青果の10倍以上で販売可能だ。

茨城県が全国生産の約99%を占め、地域の雇用と所得向上に寄与している。

EC販売や観光土産としての人気も定着し、地方創生の好例といえる。

 

今後の需要は、
1)健康・美容志向の高まり
2)機能性食品市場の拡大
3)海外への輸出需要の増加
の3方向で拡大が予想される。
特にアジア圏では日本産の“ヘルシースナック”としての評価が高まりつつあり、輸出拡大が期待される。

 

一方で、課題もある。
保存性の低さやカビの発生リスクは品質管理の改善課題であり、温度管理や包装技術の進化が鍵を握る。
また、原料となるさつまいも価格の高騰や気候変動による収穫不安定化への対応も求められる。

 

総じて干し芋は、「伝統食品の再発見」と「健康志向マーケットの融合」が生んだ成功事例である。
今後は、ブランド化・輸出展開・サステナブル包装などでさらなる進化を遂げる可能性が高く、“第6次芋ブーム”の主役になるだろう。

 

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