組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「認証の取消、一時停止」について。
2018年の報道では、多くの企業において製品検査データの改ざんが頻発しました。
記憶をたどれば、耐震・免震系製品、金属製品、自動車の燃費、杭打ちデータ・・・など枚挙にいとまがありません。
また、数年前であれば、工業製品製造業や建設業だけでなく、食品業界における食品偽装などもありましたし、サービス業では、保険業界における不払い問題もありました。
さらに、事故、犯罪報道を含めれば、通販会社の物流倉庫火災、データセンター火災や不正会計などもあります。
こうした不祥事等の報道があると、認証機関は、
・認証組織か否か
・認証組織に該当する場合は、登録範囲か否か
といったことを調査します。
少々感覚的な話となりますが、以前(2000年以前)であれば、事故や犯罪に関する組織不祥事の報道があっても、「認証しているのは品質マネジメントで仕組みの保証だから」とか「虚偽報道と環境マネジメントは関係ない」といった概念を持つ人も関係者の中には多かった気がしますし、世間のISOマネジメントシステム認証における社会的な位置づけや期待もそんなに高くなかった気がします。
しかし、昨今では、少なくとも企業にまつわる不祥事等の報道があると、認証機関はもちろん、世間一般の人も、ネットで検索して、その企業がISOマネジメントシステム認証を受けているかどうかをチェックしています。
その結果、その企業が、ISO認証に関係がある(厳密には、認証対象外の業務であっても)となると、ネットでは、「ずさんな管理で事故を起こした〇〇企業はISO取得企業だった」といった情報もよく飛び交っています。
話を少々認証機関に戻しますが、認証機関では、不祥事等の情報を入手すると、認証の取消や一時停止に相当する事象であったか否かの情報収集を実施し、その程度により臨時審査を実施して、認証登録の取消や一時停止、認証継続の審議をする仕組みとなっています。
ただ、機関の考え方もあるので、一概に「おかしい」とは言えませんが、例えば、「検査データ改ざん」の問題があると、機関が認証に与える影響を「品質マネジメントシステム」と決めてかかって議論を進めているケースがあります。
確かに、この事例でいえば、検査データそのものは「製品品質保証情報のひとつ」ではありますが、厳密に言えば、検査データ不正により、製品の再製作や改修工事が発生すれば環境影響も発生します。
また、「優良誤認」に該当すれば、景品表示法が関係してくるかもしれませんし、不祥事等の根本原因が組織ガバナンスやコンプライアンス意識の欠如にあるならば、情報セキュリティ、労働安全衛生などのマネジメントシステムへの影響もあるかもしれません。
いまや、ISOマネジメントシステム認証は、企業間取引の「BtoB」だけでなく企業対消費者間取引の「BtoC」としても社会的な意義を果たしています。
したがって、会計不正や事故といった一見、提供する製品・サービスには直接関係ないと思われる問題であっても、他のマネジメントシステムの認証に及ぼす影響に関して調査する必要性が認証機関には求められるでしょうし、世間一般も「組織マネジメントの問題が関係しているのでは?」という観点でチェックしていくことが、ひいては、認証企業の価値向上につながるといえるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ629号より)
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