2019年3月14日付の北海道新聞が、
「北海道新幹線3周年 利用客減る一方 18年度の乗車率24%」
という見出し記事を報じていました。
記事によると、
(以下、記事から抜粋引用)
・JR北海道の島田修社長は13日に記者会見を行った
・会見では、3月26日に開業3周年を迎える北海道新幹線(新青森―新函館北斗)の本年度(2月末まで)の1日あたり平均乗車人員が約4700人と、前年度を約300人下回ったことを明らかにした
・平均乗車率も2ポイント低下の24%
・島田社長は実績に「満足していない」と述べ、収支改善へ青函トンネル内などの高速走行実現を改めて訴えた
・開業実質初年度の2016年度は平均乗車人員約6200人、乗車率32%、17年度は約5千人、26%で、年々悪化している
・島田社長は「初年度に比べ首都圏からの利用がかなり落ち込んだ。(繁忙期と閑散期の)季節波動が非常に大きい」と説明した
・年100億円規模の赤字を計上する新幹線の収支改善策として、3月16日に時速140キロから160キロに引き上げられる
・青函トンネル内など貨物列車との共用走行区間のさらなる高速化が必要と強調
・2030年度末の札幌延伸時には最高速度320キロを目指す
・「東京―札幌間が4時間半になれば、鉄道利用のシェアを引き上げられる」とした
・高速化へ、貨物列車との共用走行区間の物流を海上輸送などに転換する議論が浮上していることについては「しかるべき機関で協議が始まるものと思う」と述べた
(引用、ここまで)
だそうです。
誰もが「開業特需が終われば乗車率は落ちると「予想していた」と思います。
札幌を拠点に仕事をしている身の私としても「札幌延伸されるまで使うことは殆どない」のが現状です。
個人的には、「鉄道好き」なので、時間に余裕がある時の旅行であれば、札幌から岩手、仙台、それから首都圏までも「陸路」を利用したことは、北海道新幹線開業以前はもちろん、開業後も年に3~4回はあります。
ただ、一般的には、まず利用しないだろうな、と思います。
乗車率の改善の解決策として、JR北海道の島田社長は、
「スピードアップ」
を上げていますが、効果は限定的だと思います。
なぜならば、そもそも「運賃が高い」からです。
まず、新幹線だけで考えても、東京から、博多までは、1000キロ以上あり、新函館北斗までは、1000キロありません。
しかし、新函館北斗までの方が割高です。
また、飛行機との比較でも、旅行など事前に旅程が決まっていれば、早割で航空券を取得できますので、飛行機の方が安いです。
そもそも、山陽新幹線の場合は、例えば、新大阪―広島や岡山―博多といった利用者が多いですが、仙台―盛岡の利用客は多くても、仙台―新函館北斗、盛岡―新函館北斗という利用者は、山陽新幹線と比較して少ないです。
また「東京から新函館北斗まで4時間の壁(現在の最速は4時間13分)」にJR北海道も国交省も拘っていますが、スピードアップはもちろん「ウリ」にはなりますが、「劇的な改善」にはならないと思います。
札幌延伸に向けて、国交省は、「平均時速360キロ」を目指しているそうです。
要は「札幌まで5時間切り」です。
台風シーズンや冬場の雪を考えたら、「新幹線を東京札幌間の移動の選択肢」にする人は増えるでしょう。
しかし、その影響で、
・JR貨物が青函トンネルを使用できなくなり「輸送コスト」があがる
・JR貨物の線路利用による道南いさりび鉄道の収益が無くなり経営が悪化する
・JR貨物の基幹区間の運行がなくなると、支線の輸送網も運行廃止の可能性が出る
という北海道経済への深刻な問題が生じます。
現在、国交省は、「青函トンネルを走らせることができる貨物輸送専用車両の新幹線」の開発を検討しているそうです。
しかし、車両の開発・製造コストが高く、仮に走らせるとしても、輸送量は、現在の5分の1程度にしかならないそうです。
足りない輸送力は、主に「船」が担うと思いますが、トータル的に輸送コストが割高になることは確実です。
鉄道ファンの私としては、「札幌延伸」は待ち遠しい話題です。
しかし、鉄道による貨物輸送への影響は、深刻過ぎる話題です。
素人考えですが、例えば、北海道側、青森側に巨大な輸送基地を作って、新幹線が青函トンネルを走らない「23時~7時」に集中的に貨物輸送する、という方法論は成り立たないのかな、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ637号より)
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