自治体との連携推進において、事業の委託を受けている場合、この3月は委託事業の最終月であり、また、結果報告に向けた報告資料作成を視野においた整理も必要な時期となります。
中間期においても委託事業内容に関する進捗確認や簡単な会計報告は済ませていますが、最終報告書の作成となると、詳細な報告が必要になります。
そこで、今回は、本年度まで全国各地で多用されていた「緊急雇用創出事業」に関する報告書の中の会計事項を例として、これから、自治体とのあらゆる委託事業を考えている方々への注意事項として考えてみました。
一般的な委託事業は、自治体と民間との間で委託契約を締結し、あらかじめ指定された業務委託仕様書により、その役務が明確化されます。
委託費支払いについては、期中、2回から3回に分けての概算払いにて入金頂ける事が多いのですが、基本的には、当初の条件が満たされてなければ、最終検査で不合格となり、受入れ済みのお金に関しても返戻義務が生じますし、検収で合格しても、残余金が発生した時には、対象金額の返戻義務が生じます。
(研究・調査事業や他の事業では、受託してから数ヶ月間かけて、自己負担で実施した後、実施報告書の検収をうけ、合格したら代金支払い。という事もあります)
報告必須事項でもある経理処理についてですが、一般企業なら普通に実施している事でも、中小零細企業では、「なかなか実施できていない管理方法」について、注意が必要なので幾つか御紹介しておきます。
■ 旅費項目
旅費については、かかった交通費の領収書を用意すれば良いと考えがちですが、出張の必要性を明確にした出張命令書などの書類がある事が望ましいです。
必要な報告書類としては・・・・・
① 出張命令書(誰が何の為に、いつ、誰に、どこに行かせて何をさせるか)
② 旅費計算書(出張中の旅費計算書)
③ 出張報告書(出張者が出張命令者に対する報告書、命令者の確認)
④ 領収書(電車・航空券・タクシー等)
⑤ 現金振込受領書
⑥ 現金出納帳(出張者からの領収書等)
これらが、しっかりファイリングされている事がベストです。
■ 車両借上料の運行日誌
業務を遂行する為には、車両を利用する事が発生する事があります。この場合、ガソリン代などの燃料費については、しっかりと領収書の処理をしますが、「運行日誌」をつけるという習慣が、あまりない会社もあると思うので注意が必要です。
運行日誌の記入例としては・・・・(車両ごとに管理)
① 利用日(何月何日)
② 何時何分から、誰が利用したか?
③ 行き先はどこか?
④ 車庫入りは何時何分か(運転業務終了)
⑤ 車庫入り時の走行距離は何キロメートルか?
⑥ 前回の走行距離から逆算して、今回の使用距離数は何キロメートルか?
⑦ 備考としては、天気や積載物なども記載すると良いでしょう。
■ 備品・消耗品関係
備品については様々な規定がありますが、受託事業以外に使用してはいけない事になっています。一般的には、備品購入検討から発注、購入、納品、支払い。という流れがわかるようにしておく必要がありますので、普段の業務で請求書と振込伝票しか管理していない会社は注意が必要です。
必要な管理書類としては・・・・・
① 相見積書(2ヶ所以上からの見積もり)
② カタログ・仕様関係書類
③ 発注書類の控え
④ 注文請け書
⑤ 納品書
⑥ 請求書
⑦ 支払い受領書(銀行振り込み受領書や領収書)
以上のような感じです。
他にも様々な注意が必要ですが、基本的には、大切な税金を原資とした事業を執り行っているので、管理もしっかりする事が要求されます。
これらの使途や管理については、役所の担当者の了承を取り付ければ良いだけでなく、決算委員会で承認される必要があります。
委託事業を受ける予定はないという法人でも、通常の業務における管理体制という点において、同様のことが出来ているかチェックしてみてはいかがでしょう。