ヘンリエッタに降る星 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

『ヘンリエッタに降る星』


 1995年製作のアメリカのテレビムービーです。あちらのテレビムービーは侮るなかれ。この作品も製作がクリント・イーストウッドで、監督がジェームズ・キーチ。出演はロバート・デュバル、エイダン・クイン、フランシス・フィッシャー、ブライアン・デネヒーという豪華版です。ビリー・ボブ・ソーントンも出ています。


 油田を探す山師がテキサス州のヘンリエッタで農場を営む家族の元に立ち寄り、この下には油田があるとお告げをするという話です。今の生活からの向上を望む一家の主人は、その話を真に受け苦労しながら油田掘りの準備をするのです。言ってみれば、ロバート・デュバルの「ここ掘れ、わんわん物語」。油田で一発当てようという、『ジャイアンツ』物語です。ただ、山師や農場の家族たちのバックボーンが丁寧に描かれています。夢を追おうとする夫と、確実安定を望む妻。太古の昔から繰り返されてきた夫婦の行き違いはやはりここでも登場するのです。


 石油が出るかどうかは、努力だけでどうなるものでもない大博打です。勿論、石油を掘り当てるまでには機械を揃え作業をするという努力が必要なわけですが、努力したからと言ってその土地に石油がなければどうにもならないわけです。こうやって考えると、アメリカンドリームにはやっぱり努力だけではなく何よりも運が必要なのかな、と思ってしまいます。それでも、夢に賭けたい人々の気持ちがよーくわかる珠玉の話でした。やっぱり、イーストウッドって男の夢を描かせたら最高ですね。