陰謀論に登場するイルミナティは、古代シリウス信仰を復活させ、ルシファーという悪魔を崇拝していると言われている。
日本イルミナティ協会もシリウスを信仰し、ルシファーを崇拝しているが、そのことについて説明しておきたい。
通説では、聖書で「エロヒム」は神を意味する言葉で、「サタン」は悪魔を意味する言葉として知られている。
そして、神の名は「ヤハウェ」、魔王の名は「ルシファー」として一般的に認識されている。
だが、ここで解説しておかなければならない。
セム語でエロヒム (Elohim) はエル(el)の複数系で、「神々」を意味する言葉である。
複数系ということは多神教であり、エルはその最高神なのだ。
一神教であるはずの聖書に「エロヒム」と記されているのは、最高神エルとミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルなど、名前に「エル」が付く天使たちの総称である。
一神教であるが故に「神」と「天使」に分けられているが、その本質的実体は多神教なのだ。
さて、古代オリエントの様々な神話は、エルを最高神とする多神教であり、エルの息子の名前を「バアル」という。
バアルは「主」という意味だが、エルは後継者のバアルに神権交代し、その名のとおりバアルが主神となった。
それが古代オリエント一帯の神話の骨子であり、『旧約聖書』もそれに基づいて編纂されているのだ。
当然ながら、イスラエル民族も「バアル」を主とする多神教徒であった。
彼らはエジプトで奴隷となったが、時のファラオが宗教改革を起こし、太陽神「アメン」を主とする多神教を禁止して、新たな太陽神「アトン」を唯一神とする一神教を成立した。
その後、ツタンカーメンによって「アメン」を主とする多神教に戻ったが、モーセがイスラエル民族を解放するべくエジプト脱出を図った。
詳しく説明すると長くなるので省略するが、そのイスラエル民族の中に「アトン信仰」を続けていた部族があったのだ。
それが「ユダ族」と「ベニヤミン族」の2支族で、後にユダヤ教を成立した部族である。
彼らは「ユダヤ人」と呼ばれ、イスラエル10支族が消失して以降、『旧約聖書』をアトン一神教に塗り替え、バアルを悪魔として貶めたのである。
彼らにとって異教の神はサタン(ヘブライ語で「敵対する者」)であり、アトンこそが唯一の絶対神なのだ。
だが、「十戒」で神の名を口にすることが禁じられ、「ヤハウェ」と呼ばれるようになった。
現在のユダヤ人はヤハウェを「アドナイ」と呼んでおり、キリスト教では「エホバ」と呼ばれたりもしているが、話が煩雑になるので細かい解説は割愛する。
また、ヤハウェは「ヤーウェ」や「ヤーヴェ」等と発音されることもあるが、ここでは「ヤハウェ」に統一する。
ここまでの話を整理すると、ユダヤ人にとってはヤハウェ(アトン)が唯一の神であり、バアルが悪魔の筆頭ということになる。
だが、それは正しい解釈ではない。
イエスも神である天の父を「ヤハウェ」と呼んだが、ヤハウェ(YHWH)は英語に直訳すると「I am.」で、「私は~である」という意味である。
イエスが「ヤハウェ」と呼んだ神は「バアル」のことで、イエスはバアルの受肉(アバター)だったのである。
バアルは頭に牛の角が生えた嵐の神だが、日本では「スサノオ」という神名で知られている。
スサノオは「暴風雨の神」で「牛頭天王」とも呼ばれているが、陰陽道では「鬼門の神=鬼」として封印されている。
その姿はまさに「バアル」と一致しているが、スサノオの本質は人類の罪を背負った贖罪神であり、それを地上で体現したのが「イエス・キリスト」なのだ。
つまり、イエスは「スサノオ」であるが、イエスの記録が太陽神の神話と重ねられているとおり、イエスは太陽神の象徴でもある。
イエスを「太陽」に例えると、天の父は「シリウス」ということになる。
イルミナティはシリウス信仰を啓蒙しているが、それを「ルシファーの光」だとしている。
ルシファーの語源は、ラテン語で「光を運ぶ者」を意味する「ルチフェロ」である。
スサノオは高天原から追放されたが、それが天界から追放された「ルシファー」なのだ。
ルシファーは「シリウス」、イエス・キリストは「太陽」を象徴するが、聖書ではルシファーとイエスは「光」「蛇」「明けの明星」でも象徴されている。
これが意味することは、ルシファーの受肉(アバター)がイエス・キリストであり、「バアル=ルシファー」なのだ。
厳密にいうと「バアル≒ルシファー」で、ルシファーは「竜」として描写されている。
ルシファーは終末に火と硫黄の獄から釈放され、地震や火山の噴火を起こすことが予言されている。
聖書では「悪魔の王」として描かれ、その姿は7つ頭の竜で形容されているが、聖書で「7」は聖数であることに注意して頂きたい。
ルシファーとは龍神の総大将である「国常立尊」であり、陰陽道では猛悪の祟り神として封印された正神なのである。
国常立尊もスサノオも「艮の金神」と呼ばれているが、厳密にいうと国常立尊の分神がスサノオである。
従って、次の等式が成立することになる。
「ルシファー=国常立尊」
「バアル=スサノオ」
日本イルミナティ協会は「シリウス」を信仰すると共に、ルシファー(国常立尊)とバアル(スサノオ)を信仰する、世界征服を企む非宗教団体の私設政治結社である。
西洋ではルシファーやバアルは悪魔とされているが、日本でも陰陽道では国常立尊は祟り神、スサノオも神話では悪神や鬼として恐れられている。
その意味において、私は自らを偽悪的に「悪魔崇拝」と表現しているが、その本質を理解して頂けることを願っている。
もう1つ、ルシファーについて話しておくべきことがあるが、続きは次回の記事に譲ることにしたい。