lladroさんのブログ -14ページ目

lladroさんのブログ

ブログの説明を入力します。

地下鉄の乗り継ぎ駅での事です。


ゆっくりゆっくり歩いている私の脇を、明らかに私より年上の女性が

小型の黒いキャリーバックを引いて、颯爽と追い越して行きました。

ウェストを絞ったグレーのスーツをピシッと着こなして、

背筋を伸ばし、ハイヒールの足音を響かせながら歩いて行く

その姿を、私は半ば羨ましく見ていました。


ところが地下鉄にはたいてい階段があります。
しかも下りのエスカレーターは少い。


先を行く彼女がその階段にさしかかりました。
一旦立ち止まって、バックの引き手を収めるとサッと右手で

キャリーバックを持ち上げ、勢いよく降り始めたのです。


しかし階段は踊場を設けながら幾つも続いています。
だんだん彼女の身体が左側に傾き、スピードが落ちてきました。
「重そうなバックに、ハイヒール。ちょっと休んだら?」と心の中で

つぶやいたその時です。


40代サラリーマン風の男性が近づいて、一言声をかけた後、

スッとそのバックを持ってやりました。

ちらりと見えた女性の横顔が、本当に嬉しそうだったこと。


近頃は、こんなさりげないエスコートをする男性や若者が

増えた気がします。喜ばしい限りですね。

『回復』、何気ない動作が自然にできていると気付いた時、

それを実感します。

不自由を体験したからこそ分かる感覚。

少々ゆっくりだけど、真っ直ぐに左右同じ歩幅で歩ける。

手すりがあれば、階段を片足ずつ交互に下りられる。

正座は無理でも、しゃがむことができる。

両方の膝を同じように床に着くことができる。

「随分自然に動けるようになりましたね。」

身近な人に言われるようになりました。

でも油断は禁物。

青信号が点滅し始めた横断歩道、後ろから来た若者が小走りに

渡って行ってもこの数ヶ月間、私はじっと次の青まで待っていました。

それが、近頃思わず身体が前に出そうになってしまい、

「まだ無理よ!」と叫ぶ心の声にあわてて引き戻されます。


身の回りの冬支度にもつい気持ちが急いてしまいます。

「ゆっくりゆっくり!」「休み休み!」と言い聞かせながら、

散らかった部屋に我慢。


ウーン忍耐、トレーニングと休養のバランスを忘れないことが大事!

自問自答の日々が続きます。

コツコツという根気のいる努力は、実は苦手。
でも今回ばかりは真剣です。
だってこのまま、まともに歩けなくなったら大変ですもの。
毎日、単調なリハビリメニューを真面目にやっています。だんだん回数を増やしながら…。
先日の診察の時「まだ痛みが取れないのですが…」「あたり前でしょ! まだ手術からひと月も経っていないのですよ! ここまで膝が曲げられるようになったのだから立派なものです。それに歩き方も随時しっかりしてきました。あなたの回復は早い方ですよ。筋力トレーニングを続けてください。」「はい。」
“努力は必ず効を成す”と信じて、もう少し続けてみましょうか。
「これからは、休むことを意識しなさい!」
抜糸後の医師の言葉です。
そうよね、いくら元気なつもりでもこの身体、もう60年以上も使っているのだもの。
キチンとしたメンテナンスをしていないとこれから先、人生を楽しめなくなってしまうわ。

事実、本当にこの数日間ゴロゴロ、ダラダラと過ごしてきました。
3.4時間も経つと起きているのが辛くなって、ウトウトと眠ってしまいます。まるで身体から“お休み信号”が発せられているかのように。

芯からゆっくり休んでいたら、なんだか気力が戻ってきた気配。食事も美味しくなってきたし。

先生の言葉を守ってこれからは少しズボラに生活しましょうか、なんて言いながら、既にリハビリスケジュールを考えている私。
ゆっくりゆっくり、休み休みを意識しながらね。

三日前、膝の内視鏡手術を受けました。


月曜の朝入院すると直ぐに、入れ替わり立ち替わり

色々な担当者が来て、手術の内容の確認や麻酔のやり方、

術後のスケジュールなど、事細かに説明してくれました。

不安に慄いている間もないくらい。

でも病院の夜は早いです。

18:00に夕食が出ると、21:00には消灯。

なのでお薬を貰ってさっさと寝てしまいました。


目覚めたのは午前4時前、それからの時間がほんとに

長かったけれど、外が明るいのが救い。

もちろん朝食はナシ。

8時、そろそろ準備が始まります。

着替え・体温・血圧・脈拍・・・すべてオーケー。

車いすが迎えに来ます。まだ歩けるのに。


9時ぴったり、手術室の重そうなドアが開きました。

前日挨拶にきた担当者達が勢揃いして待っていました。

麻酔は下半身なので、意識ははっきりしています。

そして、なんとまあ、手術の状況を大きなモニターで

写し出しているのです。

執刀医の先生は「ここです、この部分がこうなっているので・・・」

と淡々と説明をしつづけます。

「見えますか?これからここを少し削りますから・・・」

さすがに、そこから先は目をつむりました。


一般的にはそんな時、男性より女性の方が気丈だとか。

更に、一週間の入院予定を振り切ってもう退院してしまいました。

抜糸までは、絶対おとなしくしていることを条件に。


女は強いのか、損な性分なのか、つい自分の事を後回しにして

家族や家のことを考えてしまいます。

なんとまあ、進歩した医療現場に驚きながら“おんな”の強さを

再認識しているところです。

えっ、私だけ?