阿曇磯良と雨月物語 | LIZABSTRACT

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友人がブログに
「石上神宮」の
「石上は、イソノカミと読みますから。
磯(イソ)も関係してるかもしれません。


「阿曇磯良(アズミノイソラ)の
イソラは、イソラ・エル(イスラエル)で
エルは、エル・シャダイのエルで神を意味します。
だから、イソラ神=イスラエル?」


そんな事を書いていた。


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去年の秋に、岡山の鳴窯神事 のお釜殿に行ったら
ご神事していないのに、釜が鳴った。
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最初に「ボッ」と
何かを告げるように鳴り。
しばらくしてから「ボーッ」っと緩やかに
長々と鳴った。

心地よくなる釜の低い音を聞いて
阿曽女(あぞめ)さんが、ご神事していないのに
釜が鳴るのはとても珍しいですよ。と言われた。

阿曽女とは、鳴釜神事の巫女の事だ。
[お釜殿にてこの神事に仕えているお婆さんを
阿曽女(あぞめ)といい、
温羅が寵愛した女性と云われています。
鬼の城の麓に阿曽の郷があり代々この阿曽の郷 の娘が
ご奉仕しております。吉備津神社 HPより ]



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鳴釜神事と言えば上田秋成の『雨月物語 』の
「吉備津の釜」で使われているモチーフだが、

「吉備の豪農の放蕩息子正太郎が神主の娘
磯良(いそら)との婚儀の吉凶を占う時、
釜が全く鳴らなかった。」


物語中の放蕩息子正太郎に嫁ぐ娘の名前が「磯良」だ。


ウィキの「鳴窯神事」の中でも指摘されているように、

「磯良の名は阿曇磯良を彷彿とさせるが、
上田秋成が何故この名を使用したかは不明。」とある。


前出の友人のブログを読んでから、私の中で
「石上神宮」→阿曇磯良→「吉備津の釜」と
連想が続いた。


しかし「阿曇磯良」からはじまる連想なら・・・
同じ「石」繋がりだが、石清水八幡宮だろう。


阿曇磯良→石清水八幡宮→志賀海神社
となりそうだ。


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安曇磯良


石清水八幡宮の縁起である『八幡愚童訓』には
「安曇磯良と申す志賀海大明神」とあり、
当時は志賀海神社(福岡市)の祭神であった
ということになる(現在は綿津見三神を祀る)。
同社は古代の創建以来、阿曇氏が祭祀を司っている。」



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先日、和気神社の事を書いた時 に、
和気氏と辛島氏(辛嶋氏)が近しい関係を築いて
いたのでは?というような事を書いた。


石清水八幡宮の勧請元は宇佐八幡宮で

宇佐八幡宮神託事件 でも辛嶋氏の
[辛嶋勝与曽女(からしまのすぐりよそめ)]
が宇佐八幡宮の禰宜であった。
そして辛嶋氏と和気清麻呂の間に何らかの調整があり、
清麻呂の再びの求めに応じて


「清麻呂は不審を抱き、改めて与曽女に宣命を訊く
ことを願い出る。与曽女が再び神に顕現を願うと、
身の丈三丈、およそ9mの僧形の大神が出現。
大神は再度宣命を訊くことを拒むが、清麻呂は
「天の日継は必ず帝の氏を継がしめむ」という大神の
神託を大和に持ち帰り奏上する。」

と言う話の運びとなる。


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一方雨月物語の出来すぎた嫁の磯良は、
「吉備津神社の神主、香央造酒の娘」として描かれる。

余談だが、香央 磯良 は昨今は「萌え属性」らしい^^


巫女的女性の父が造酒の聞くと、
コノハナサクヤヒメの父で酒造の神・オオヤマツミ  を
連想しないでしょうか?


「素戔嗚尊(すさのを)の妻となる奇稲田姫(くしなだひめ)の
父母、足名椎命・手名椎命(あしなづち・てなづち)は
オオヤマツミの子と名乗っている。」が
辛嶋氏は素戔嗚尊の末裔を名乗っている。


さて、上田秋成が何故「香央造酒の娘」で
「香央 磯良」の名を使用したのか?


上田秋成はやんわりと、九州、酒造神・オオヤマツミ
の末裔、シャーマン的素質、八幡神との関わり・・・
などの要素を匂わせているのではないか?と思う。


「いそら」という音の響きも女性の名前として
美しく感じながらも、

激しい性格を秘めているように思える。


「雨月物語」の磯良を生き生きとさせる為に、
上田秋成はこの名前を選んだのだと思うが、
かなり深い思案があった事だと思う。