夫は2024/2/6に最後の抗がん剤を行って、それ以降は癌に対する積極的な治療は行えていません。無治療です。
無治療になって、もうすぐ4ヶ月です。
無治療とはいえ『まだ治療できるんじゃないか?』と、遺伝子パネル検査やハイパーサーミアを行ったりしながら良質な治療方法を探してきました。
本当の意味で緩和ケアに移行したのは、もうそれ以外は選ぶことがかなり難しい時点になってからです。
それでも、夫の体調が良い日は、
『まだ治療できるんじゃないか?』と考えてしまう日も有ります。
自分の中では『陽子線が可能性あるんじゃないか?』と、何度も反芻しました。
現実的に考えて、
現在の夫は癌の終末期の後半に入っていて、月単位というよりは週単位になってきたと感じています。
ですから、そこに粒子線は、冷静に考えたら無理で、もしやったとしたら、それをきっかけに命を落とすこともあると思います。
夫本人はもっと色々悩むことは有ると思います。
昨年12月頃、大学病院の消化器内科の主治医から、膵頭部癌手術不可の夫本人に
『抗がん剤をやらないという選択肢も有ります』と、暗に無治療を薦めているとも感じる発言が有りました。
私もその場にいました。
夫は『抗がん剤をやりたいです』と言いました。
医師は『あなたにとって(人生で)やっておきたい事は何ですか?』との問に、
夫は『仕事です』と答えました。
私は、残された時間に、思い出づくりに旅行に行ったりするのかな、と勝手に思っていたので、ちょっとがっかりしましたが、夫らしいとも思いました。
ここで少し話が脱線します。
私には、1歳年上の兄がいました。
兄は37歳で大腸がんで亡くなりました。
年が近く、子供の頃から、いつも私は兄にくっついていて、兄にはとても優しくしてもらいました。
兄は私にとって自慢の兄でした。
勉強やスポーツができるだけでなく、全ての人に優しい人でした。
兄の大腸がんの事で書きたい事はたくさん有りますが、盛りだくさんになるので、今日は割愛しますが、その経験が有っての今です。
兄がなくなって、20年近く経ちました。
医学や病院などの制度も、ずいぶん変わったと思います。
ただ、兄の事が有って、私が強く思うことが1つあるのです。
それは、なるべく『後悔しないように』今を生きるということです。
あの時こうすれば良かっと思うことはもちろんあります。
でも、私は決めています。
後悔しないように、やれることを精一杯やる。
兄が国立がんセンターの個室に入院して、母が毎日付添い入院していました。
その時は、直腸がんがん手術をして、癌を取り去った後の生活してる中で、詳しく分からないのですが、『腸が破れた』ような現象になって入院しました。
私はその時、会社に勤務していましたが、自分が休みの前日は、私が母の代わりに兄の病室に泊まることで、母を自宅に帰ってお風呂に入れるようにしました。
その行動は、自分から申し出たのですが、仕事はフルタイムで毎日残業もしていて、現在の夫と結婚もしていたので、体力的にも時間的にも簡単なことでは無かったのです。
でも、それをやることで、終末期の兄との時間を作れたし、兄が亡くなってからも自分にできる精一杯の事が出来た様に感じました。
話を戻しますが、今の私が夫にとってできることを精一杯やろうと思っています。
お金についても、
『欲しいもの何でも買っていいよ。あなたのお金なんだから』と言いました。
また、緩和ケアになって、一人でできないことも増えてきた頃
『私に気を遣ってる?もしそうなら、遣わなくていいよ。そうしてもらうことのほうが、私にとって幸せだから』と伝えました。
緩和ケア病棟を退院する今年5月はじめ頃のことです。
夫がやっておきたいことは、『仕事』だったはずですが、夫は頑張って生きてるのは『みっちーのためだよ』と絞り出すように、かすれた声で言いました。
子供のいない私が1人になってしまう。
だから1日でも長く生きてくれている。
夫は昔から言葉少ない人でした。
だから、いいように解釈する癖が私にはついています。
このブログの初回に書きましたが、
膵臓がんでバイパス手術をした人の情報が少なかったので、私は困っていて、私のような人のために、どんな経緯をたどるかを書こうと思いました。
初回のブログに『くらたま』さんのご主人の事を書いています。
倉田真由美さんの夫の叶井俊太郎さんは、
無治療を自主的に選択しました。
https://dot.asahi.com/articles/-/209519?page=1
結果、最初から無治療を選択したからこそ長く生きれたケースではないかと私は感じています。
無治療とはいえ、
黄疸があったのでしょうか?
胆道ドレナージ手術をされていたようです。
また、十二指腸狭窄されたのか?
胃空腸バイパス手術をされた様です。
がんの治療は行わなくても、最後までなるべく快適に生きるための対処療法は無治療でも有ったほうが本人にとって良いと思います。
また、叶井さんは、自分の血液を採血して、免疫を高めてから体に戻す免疫療法を行っていたようです。細かい所は分かりませんが、私の兄が、治療方法が無くなった時に似た事をやったので、印象的でした。
兄は20年前ですが、当時その免疫療法を全部行ったら自由診療ということもあって1000万円かかるとのことでした。
兄は2回その治療を行なった所で、亡くなりました。
今は、同じものでも金額はそんなにしないと思います。
私の父は薬剤師で知り合いの医師に相談して、その治療をやることに決めたとのことです。
兄の場合、いわゆる緩和ケアになってから開始していますので、その療法の効果が出るのは、かなり難しかったと今の私は思います。
兄は免疫療法を行いましたが、私は夫にそれをやりたいとは思いませんし、夫には効果が無いと思っています。
話を戻しますが、叶井さんは抗がん剤等いわゆる癌治療を行ってない段階からこの免疫療法をやっているので、もしかしたら少し効果があったかもしれません。ただし、今はもっと進んだ免疫療法があるようですが…
最後に、また私の夫の話に戻ります。
この話は、ちょっと笑える話かもしれませんが、私は夫にこのアメーバブログを書いていることを話していません。
こんなに写真出してるのにね
夫はブログに気がついて無いようですが、気がついてないふりかもしれません。
前に書きましたが、写真は家族や夫のリアル友人や会社の重要人物に、その方のタイミングで夫の様子をご覧いただくために写真を出しています。
夫は、かなり頑固な性格で、結婚して28年ですが、私の意見等は聞いてくれる人ではありません。
その代わり、私にも自由にやっていいよ。という考えの人です。
年1回の健康診断も受けていませんでした。
会社員でそんな人いるのか?と思いますが、いるんです!
まあ、それだけ健康だったからかもしれません。
そんな夫ですので、私が夫の膵臓がんについて、あれこれ言っても相手にしてもらえないと思いました。
しかし、情報があったほうが、良い結果が得られることは兄の事もあって知ってました。
なので、私は『(夫と)同じ病気の方々と情報交換している』と夫に伝えています。
他のがんサバイバーや、サポートする方が書いたブログから得た情報や、
私のブログに治療について情報をコメントいただいた時に、
『(夫と)同じ病気の人からいただいた情報だ』と説明の上、夫に伝えてきました。
そうしたら、夫は耳を傾けてくれました。
私の意見は聞けなくても、同じ病気の人から得た情報は知りたかったのだと思います。
今日書こうと思ったのは以上です。