ドンへ side



『申し訳ありません...』


それしか言えなかった。でも。ウニョク様は。ううん。ふるっと頭をふった。やわらかな髪が、ふわりと揺れる


『僕が勝手に、勘違いしたんだし...』


トヘちゃんも...あ...ドンへさんも。辛かったですよね。ずっと...それに...


『謝ってもらいたくて...来たわけじゃないんです』


僕。ほんとに、トヘちゃんが初恋みたいなもので...顔を見るだけでうれしくて。一緒にいられてたのしくて...おもてなしの間...僕、すごく幸せだった...


ウニョク様...やさしく微笑むその姿を見て。余計、心が痛んだ


いくらでも。誤解を解く機会はあったはずだ。それをしなかったのは...そうだ。俺が。この笑顔を失いたくなかったんだ。トヘに向けられる。この穏やかな微笑みを...


『ドンへさん』


ウニョク様が。真剣な眼差しを俺に向ける


『復学する気はないんですか』


え...同伴することが増えて。つい。ウニョク様と同じ大学を、休学していることを話してしまったいた


『ここの仕事、このままやってくわけでもないんでしょ』


店長もスタッフもいいひとばかりだし。仕事は楽しいし。助けられてばかりだけど。ヒョンたちみたいに。ずっとここにいるのも、ちがう気がしていた。だからといって。思いきる勇気もなく。ここまで来てしまった...


『今度は。大学で会いましょう』


ヒョクチェと。ドンへとして。ウニョク様...


『僕たち。いい友だちになれるような気がするんです』


ウニョク様はそういって。ふっきったように微笑んだ


《つづく》


※本日のラインナップ