ドンへ side


『いらっしゃいませ、ウニョク様』


笑顔を作ったはいーけど...やっぱりくちびるがふるえる。ウニョク様が。ふっとその顔をあげた。しろい肌が。さらに青白く見える


『本日、おもてなし致します、ドンへと申します』


どん...へ...さん...お注ぎしますね。は、はぃ...オーダーのハーブティーを、カップに注ぐ


『いい香り...』


ふわっとたちのぼる湯気につつまれて。ウニョク様がつぶやいた


『カモミールティーでございます』


熱いので。お気をつけて、お召し上がりください。こくんとうなづいて。ふーふーと口をとがらせて。ほっぺたをふくらませて。息をふきかける


気づかないだろうけど。カモミールの花言葉は。ごめんなさい...


『いろいろ効能はありますが。保湿効果がありますので、この時期にはぴったりだと思います』


また、こくんとうなづいて。カップに、おそるおそるくちびるを寄せる。あ...


『おいし...』


よかった...カップをソーサーに戻すと。俺をすっと見上げた。ゲストを見下ろす形になってしまうので。俺はその場に、片膝をついてしゃがむ


『やっぱり、似てるね...』


そーだよね...おなじひとだもんね...ウニョク様が。寂しげにつぶやいた



《つづく》