シウォン side



《closed》のプレートが掛かってはいたけど。構わずドアを開けた。カウベルの音に、ヒョンが振り返る


『すみません。まだ準備中で...なんだ、シウォンか』


何かあったか?とは聞かれない。俺がここに来るのは、《何かあった》ときだから


『しばらく、居させてくれない?』


寝るとこなくて...何だよ、また追んだされたのか。ヒチョリヒョンが呆れたように


『俺だって、雇われ店長なんだからな』


ぶちぶち言いながらも。店の屋根裏の鍵を貸してくれた。スタッフ用のバスルームで。何日かぶりにシャワー浴びる。屋根裏は店の備品置き場になっていて、ひとよりガタイがいい俺にはかなり狭いんだけど。ゆっくり休めるなら御の字だ



ヒチョリヒョンとは鑑別所で出会った。ほかのやつらには、まったく馴染めなかったけど。それでもなぜか、寄ってくるやつは多くて。結局、塀の外も中も同じだった


ヒョンとはなぜか、最初から息があって。たぶん、境遇が似ているんだろう。不本意にも。塀に囲まれて、過ごすことになってしまったことも




《つづく》


※本日のラインナップ