仕事おわりに、めずらしくドンへヒョンが寝落ちしてなくて。飲めないビール片手に。案の定、二、三口で顔を真っ赤にして


『みんなさー。感性的なナムジャによわいんだねー』


へらへらと。はぁ。モテ男の自慢話なんて、酒がまずくなるだけなんだけど...


『せつな系の歌とか、舞い散る花びらとかさ。それっぽいことゆって、なみだのひとつでも見せればさ』


そんな簡単に涙なんて、出るもんなんだろうか...俳優でもあるまいし


『ほら、見ろよ』


ドンヘヒョンが俺の前に整った顔を突きだす。めずらしく真面目な顔で。やっぱりイケメンだよなぁ...なんて、思っていると...え...その綺麗な二重の目から。涙が一粒、ぽろりと溢れた。ほんとに。ぽろりと。呆気にとられていると。けっひゃっひゃっひゃ。けたたましく笑い声をあげて。くぴっとビールを飲んだ


『お前さー。そんなことして、気のない子に言い寄られても大変だろ』


ヒョンの叔父さんと俺は、とっくにソジュに切り替えていて。そんときはさー。側にあった鏡を手にして。すっと息を吸うと


『わぁぁぁぁぁぁ』


突然、大袈裟に泣き真似をしだした。若干、仰反るくらい。すぐにけろっとして。で。どうしたんですか?ってなるじゃん。まぁ...そしたら


『イケメンすぎるんですーーー』


また泣き喚きながら。誰がですか?


『俺がですーーーーー』


は...?こーゆーとたいてーあきらめてくれる。にっこりわらって。こってんとひっくり返ると。そのままいびきをかきはじめた。それって...呆れてるんだよな...きっと...


『こいつ...ちょっと殴りたくなった...』


俺もです...



《つづく》


※本日のラインナップ