お前な...


『酔っぱらって、適当なこと言ってんじゃねぇよ...』


ドンヘのあたまを押しのける。酔っぱらってない!どこがだよ...さっきまでふにゃふにゃしてたくせに...


『お、俺...』


眉毛を下げて。目を潤ませて。ひょくのことが好きなんだ...すがるよーに抱きついてくる。ドンへ...どーした、お前...あたまをなでる


『お前は芸能人だろ』


ぱっと顔をあげて。芸能人はひとを好きになっちゃういけないの!愛しあっちゃいけないの!そーじゃねぇよ...


『お前は俳優で。俺はマネージャーで。お前は事務所の財産で。個人的な...一時的な感情で、傷つけることなんてできるわけない』


じゃ...じゃぁ...


『マネージャー、クビにしたら抱いてくれる!』


ふざけんな!さすがに腹がたった。肩をつかんで。ドンヘの目をしっかり捉える


『マネージャーになってくれって言ったのはお前だろ?一番ちかくで見ててほしいっ言ったのはお前だろ?』


う...うん。そっとその頭を抱きしめる。輝くお前を見ていたい。お前の望みは叶えてやりたい。もっともっといろんな仕事に挑戦させたい...


『やっと主役掴んだんだろ。自分のちからで。手応え感じてんだろ』


うん...だったらその道を全うすべきだろ...うん...


『お前は勘違いしてるんだよ』


か...勘違い?生きるか死ぬかのときに手を差しのべられて...元に戻ることができて...頼もしく、愛しく思う感情を、愛だと勘違いしてるんだ。ち、違う!俺は...ほんとにヒョクこと...ドンへ...


『ただのフリーターだった俺を、大した経歴もないのに、マネージャーにしてくれたのはお前だ。おかげでやりがいもあるし、毎日刺激的だ。お前には感謝もしてる。でもまだまだ勉強しなきゃなんないことが山ほどある』


だから。マネージャーの仕事を全うさせてくれよ。ひょく...


『お前がつかんだその場所は、お前努力して掴んだものだろ』


ん...もしそんなことでクビにするなら...


『俺はお前から離れるよ』


や、やだ!そんなのやだ...ぐずぐずと鼻をならす。離れないで...そばにいて...


ん...わかったから...必死にしがみつくその身体を抱きよせる


『少し寝ろ。ここいるから』


ん...子どものよーしゃくりあげるあたまをなでながら、部屋の片づけもシャワーもあきらめた



《つづく》


※きのーのラインナップ『⌘ パラレル短編 balance game parod Everyday ④ ⌘』『⌘ パラレル短編 balance game parody Everyday ③ ⌘』『⌘ パラレル短編 balance game parody Everyd…リンクameblo.jp