『気がついたか?』


目をあけるとおでこにあったぬくもりがそっと消えた。ここ...どこ...?俺...


『気分はどーだ?』


ん...視界がだんだんはっきりしてきて。ヒニムが俺を見つめていた。やわらかく。そーだ。このまなざし。俺を見守ってくれていた


『きつそーだったから、ジョンウンの部屋かりた』


俺...ふたりがあらそってるのを見て、急にくるしくなって...胸をおさえる


『もーすこし寝てろ』


送ってってやるから。ん...


身体を起こそうとするとヒニムが手を添えてくれた。寝てろってのに。その手をとる


『にに...』


ヒニムが目を見ひらく。あのころ。ヒチョルともヒニムともよべなかった俺は、《にに》とよんでいた。サンチュンでもヒョンでもなかった。《にに》は《にに》


『おもい...だしたのか...』


ううん。ちがう。おもいだしたんじゃない。わかったんだ。俺に向けられたヒニムのやさしさを。あたたかさを。にに...その手を胸に抱いた


『ひとりにしてごめんなさい』


手をはなしてごめんなさい...


ドンへ...


ヒニムの首に手をまわす。やさしくだきしめられる。なつかしい。ににの匂い。ににのぬくもり。ににの声...


ドンへ...お前、いましあわせか?うん...泣きたくなるくらぃ


そーか。それならいぃ...


俺はずっとそれを願っていた。その願いをこれに込めたんだ。ヒニムが俺の耳にそっとふれた



《つづく》


※本日のラインナップ