ようやく捜しだしたヒョンはひとりじゃなかった
孤独なヒョンを助けてやるんだ。ヒョンのことをわかってやれるのは俺だけだ
そう思っていたのに...
『ジョンウン...』
びっくりしたように大きな目をさらに見開いて。すこし髪がのびて。そのきれいな手の先には...
俺と目があって。にっこりわらった。甘やかな口元。すっきりした二重の目。誰に子だかすぐにわかった。そっくりだった。《あのひと》に。ヒョンがたまに。せつなげに見つめていた。スマホの中のひと
もう会えないと聞いていた。なのに何故?ガキまで...まだこんなに小さくて...ヒョンだってまだオトナともいえないのに...
ヒョンは何も話してくれなかった。あいかわらず。そんなになっても尚、ヒョンをしばるそのひとに腹が立った。そのひとに囚われているヒョンにも...何も知らずに無邪気にわらうそのガキにも...そして。何もできない自分にも...
ヒョンがそのガキを見つめるまなざしは、見たこともないくらいやわらかくて。あたたかくて。絵本を読んでやったり。おもちゃであそんでやったり。メシや風呂の世話をしたり。肩車して散歩したり
あんなによくわらうヒョンを見たのもはじめてだった
俺ができなかったことを。こいつは平然とやってのける。当然のようにヒョンのとなりに居座って...
こいつさえ…こいつさえいなければ...
ヒョンは自由になれる...
『ジョンウン、やめろ!』
『だってヒョン!こいつがいるからヒョンは...』
『そうじゃない!俺が勝手に...』
やめて...耳をおさえて泣きだしたドンへが
俺たちの視界から消えた
《つづく》
※本日のラインナップ