先日、次男が通うカナダの小学校で運動会(Sports Day)がありました。
去年同様、朝から張り切って…という感じでもなく、子どもたちはリラックスした雰囲気の中で、いくつかのゲームをチームで協力しながら過ごしていました。
日本の運動会を知っている私にとっては、最初こそ「えっ、これで終わり?」と肩透かしをくらったような気分になりましたが、よく見ると、そこにはこの国ならではの“価値観”がしっかりと根付いていました。
順位はつかず、誰かが勝った負けたで落ち込むこともなく、ただ身体を動かし、仲間と楽しむ。
先生たちも厳しく指導するのではなく、にこやかに誘導。次男の担任の先生は、マグカップに入れたコーヒーを片手に、子どもたちを温かく見守っている姿が印象的でした。
見学に来ていた保護者はほんの数人。
でも、子どもたちはその中で自分らしく動き、目一杯楽しんでいるようでした。
一方で、夫が勤務する補習授業校では、来月に予定されている運動会に向けて今まさに準備の真っ最中。4月から会議を重ね、保護者のボランティアを募り、子どもたちは休み時間まで使って練習。前日はリハーサルがあり、当日は夫も朝6時に出勤予定です。
思い返せば、私自身がかつて支援員として関わっていた日本の公立中学校でも、吹奏楽部や応援団の練習は毎日続き、炎天下の中で子どもも先生も汗だくに。当日は保護者も朝早くからレジャーシートを抱えて場所取りに奔走していました。
あの熱気、全力の一体感。日本の運動会には、あの独特の“本気”が確かにあります。
そして、今日のカナダの運動会が終わったのは午後1時半のはずなのに、次男が帰宅したのは4時半すぎ。
「何してたの?」と聞いたら、なんとその後、公園でクラスメートたちとレモネードを1杯1ドルで販売していたとのこと。
どうやら、隣接する公園にいた人たち(おそらくほぼ全員が学校関係者)に声をかけまわって、堂々の80ドルを売り上げたらしく、「すごいでしょ?」と誇らしげ。
運動会の午後に、そんな“起業ごっこ”のような時間が始まるなんて、思ってもみませんでした。
日本とカナダ、それぞれの「運動会」の熱量は全然ちがうけれど、そこに優劣はありません。ただ、育まれる力の“ベクトル”が違うのだと思います。
みんなでひとつの目標に向かって努力する力。
自分の興味をベースに、自由に動く力。
どちらも、大切な力ですよね。
個人的には、中学校時代はなかなかしんどかったので、1日わいわい楽しんで、レモネードを売れるその自由さは少し羨ましくもありますが😄(そして、きっと夫も、コーヒーを飲みながら子どもたちの運動会を一緒に応援できるカナダの教育現場もまた少し羨ましいのかな、と勝手に憶測しています)