{62E2EE75-480C-43FF-B3A8-DC64E80FDD7E:01}

10月は たそがれの国
 

劇を見終え、
講堂の時計台を見上げる。


ため息をつけば

とたん、
箒に乗った まぼろしの
魔女たちが、集まってくる。 


ひゅーい、ひゅーい
と、飛んで、

『そろそろ、来るかい?』

わたしを呼んでいる。



(死後.
天使か魔女になるとしたら
わたしは断然、魔女がいい。

おもしろいのは
魔女だろうから)

  

『もうしばらく待っていてよ』


そう、つぶやけば
魔女たちは、解散する。

月の向こうの
深い、チョコレートの闇へ。




一方、月は

(大男の足の親指のかたちだった)

ひかりを、蓄えるように
ゆっくりと世界を見渡しながら

夜という巨大なテントを、
軽々と 吊り下げていた。




この世界は、月が宿した世界。

わたしは、闇のなかから
月光を頼りに、月満ちて
生まれたのだ。



音がした。


ちっぽけなわたしの
カラダの奥で

夜風に眠る
小鳥のように

心臓が 動いていた。


すすきの穂のように
血が、走っていた。



{B5C69E4F-B6B3-4ECB-B31A-86744DEAA426:01}
早稲田大学 大隈記念講堂 とても 美しい建物。


昨日、観た朗読劇【あん】は
わたしに、ただ

生きよ、と 伝えた。


りっぱでなくとも

とっちらかっていても

みっともなくとも、と。


結論無き人生、bravo!と。



{1EAA0E26-0D21-4676-8403-7B5694987B3B:01}



それから
また、あの地下の店へ。


作家 森茉莉が

晩年、暮らした

(こよなく愛した)

下北沢の夜の喧騒を抜けて。



{E49B7430-CD67-4ECE-9469-712289D1E95E:01}


酒を飲む、のは

月が宿した世界で
彷徨するためかも

しれない。



だから、わたしたちは

またも、

カウンターで隣り合わせた
こころ優しき 酔いどれさんたちと

結論無き人生の杯を
互いに 重ね合わせ、

ただ、ひたすらに
ゆらゆら、と。




終電車では、

早稲田の古本屋で買った

早川茉莉さん著の
【森茉莉かぶれ】の

詩のような 目次を


{A544F704-EA66-43E6-A18A-11A77276C2AB:01}


それから、下北沢を歩く
森茉莉の写真を


{E2B071D1-119B-43A6-A7B2-69C5F0F52970:01}


眺めた。


そして、
もういちど、目次を。



小さな女の子のように 
飛び上がってみた


七色の虹の輝きを部屋に鎮める


窓辺に腰掛けて
ジャムや練乳を舐めてみた


天から何か降ってくるのを待つ日々


カフェで暮らせたらいいのに


そこのけそこのけ
天真爛漫が通る
~あたしは卑屈になれないたちなの~





嗚呼、
わたしたちも、

こう生きれば良いのだ。





*昨日 sioと一緒に
彷徨してくださったのは





でした!


素敵な彷徨を、ありがとう。






晴れ晴れと
sioでした。