30代、女性、毎年花粉症で悩まされている方です。
花粉症は、東洋医学では「外から来る風寒の邪気で皮膚を覆う衛気が乱された」と考えます。
衛気を支配しているのは肺、肺は脾から水をもらって潤いを保っているので、こうした機能が乱れて胃腸や鼻に水が溢れているとしています。
鍼灸では脾や肺を整えて水が流れるようにし、同時に肝という部分を通じて自律神経を整えます。
漢方でも脾や肺を整える薬を選びます。
代表的なのは小青竜湯、あるいはその変方である麻黄附子細辛湯などです。
この方も鍼灸と小青竜湯でコントロールできていました。
しかし今年は薬を飲んでも半日くらいしか効かず、小青竜湯を飲み続けると胃がもたれるということでした。
小青竜湯は麻黄という生薬が含まれていて、胃腸の弱い方が続けるのはつらいものがあります。
体の芯に冷えがあることから、「真武湯」を勧めてみました。
これで症状が比較的、安定しているとのことでした。
最近は体が冷えている人が増えているように感じています。
冷えとは「生命力が落ちていること」で、世代間で見ると昔の世代よりも若い世代の方に顕著に感じます。
今後は従来の処方では効きにくくなり、脾を温める人参や腎を温める附子などを加えて調整する必要があるのかもしれない、と思いました。