娘ちゃん、19回目の誕生日
19年前のこの日
暑くて 暑くて 暑くて
大きなお腹をした私は 暑くて
バニラのアイスクリームを半分食べては
ごろごろ 横になっていた
初めてのお産を間近にして
ともだちと逢う約束をしていた その日の午後
なにやら 陣痛といわれるものを感じているような気がしてきた
‥‥これは 出かけたらヤバイ感じじゃない?
初めてのことでも 本能が呼び覚まされるのか
ともだちに お断りをして
また ごろごろと寝続ける
夕方近くになり
陣痛らしきものは 間隔が短くなっていく
ヤバイ、これは ヤバイぞ
寝てる場合ではないかもしれない
とりあえず、半分残してたアイスクリームを食べなくちゃ
これでよし
てくてくと ひとりで歩いて
お産のために入院へ
仕事から帰ってきただんなさんは
私が書き残していた間隔のメモを目にしたらしい
電話連絡はしていたものの
ほんとうに お産が始まるんだと
実感したらしい
勢いよく?入院したものの
その日は お産ラッシュだったようで
私は 分娩台の順番待ちとなる
破水しても
「お先にどうぞ」
で 順番を待っている感覚
激しかった陣痛も すっかり遠のいてしまって
お腹の赤ちゃんが産まれそうな気配が消えてしまったような深夜
お産ラッシュも 静まって
看護師さんも 少なくなった、分娩室のドアの向こうに
息を殺して立っているシルエットが ふたつ
実家の母 と だんなさん
‥‥待たせて ごめんね
まだ 産まれそうにないよ
ふたりの影に そう想ってた
そんな時間を過ごしたことが
もう19年も前のことだなんてね
日記には 毎年のように
「〇〇ちゃん13歳‥‥大きくなったなぁ」
「〇〇ちゃん16歳‥‥大きくなったなぁ」
と 書いている
娘ちゃん19歳‥‥大きくなったなぁ