原告を含む加盟店は、東京証券取引所第一部上場企業である被告が会計慣行および法令に準拠して会計簿記サービスを誠実に行なうものと信じてフランチャイズシステムに加盟し、加盟後の数年間、全く疑いを持っていませんでした。
加盟店基本契約書第7条(成約預託金)には、
「乙は、契約締結と同時に、甲に対して、・・・・・あらかじめ、合計金2,500,000円を預託する。」
と規定があります。
また、別紙第2(第4条第1項第1号)には、
「契約締結後、甲から乙に手渡される手引書、資料および書式は、次のとおりである。
1.セブン-イレブン・システムマニュアル 1冊 」
と書かれています。
原告ら加盟店(乙)は「セブン-イレブン・システムマニュアル」を見ることなく被告と加盟店基本契約を締結したことになります。
また、簿記会計書類は店舗が開店しなければ作成されるはずもありません。
「オープンアカウントによる取引は、㈱セブン-イレブン・ジャパン・・・との加盟店基本契約に基づくものであり、請求書が発行されておりません。」(乙2号証)という文章は、原告ら加盟店から被告が徴収するセブン-イレブン・チャージ等に関して請求書が発行されないことを、被告が原告ら加盟店に告知しているにすぎないと考えます。この文章の存在は請求書・領収書の開示を被告が拒む理由にはなりません。
原告ら加盟店と仕入先の間には売買契約による取引はありますが、オープンアカウント契約は成立していませんから、オープンアカウントによる取引そのものがありません。
原告伊藤は、2000年8月に当月の仕入金額の大部分が、翌月以降に支払われる、すなわち後払いであり、月末時点では売掛金の支払が行われていないことに気付きました。
複数の弁護士と会計の専門家に相談して財務諸表の計算と契約書との不整合を確認する一方で、たかりや言いがかり、総会屋もどきと見做されることが無いよう、経済産業省にも事実を報告(甲11号証)してから、その会計不正の是正を求めて被告と交渉を同年10月に開始しました。この時点では、まだ、被告がこのオープンアカウントの虚偽計算を行なう目的で、加盟店に領収書・請求書を開示しないという事に気付いていませんでした。
その後、2001年の9月に米国のセブン-イレブンの店舗フランチャイズ契約書(甲6-1,6-2号証)を入手し内容を確認したところ、米国においては、Invoices(請求書兼納品書)がVendors(仕入先)から加盟店に発行されていることを知り、不正なオープンアカウント残高計算を行なうため、被告が日本においては、仕入先からの請求書・領収書を加盟店に意図的に開示していないことに初めて気付きました(甲6-1号証5ページ)。
その後、被告に請求書と領収書の開示を何度も求めましたが、被告は拒絶し続けました。2002年5月に被告にオープンアカウントの残高が不正確であり、正確な残高の回答があるまで同年4月の仕入金額の送金を保留するとの通知を行い、送金を停止しました。交渉の結果、被告はオープンアカウント残高が正確であることを証する証憑を示し、それを確認後に私が仕入金額の送金を再開することで合意しました。
しかし、2002年6月に被告FC法務部マネージャ○△氏が私に示したものは、鶏卵卸業者であるイセデリカの請求金額とそれに対して減額して支払ったこと示すたった1枚の社内伝票でした(甲7号証)。このときに、私が「この差額はセンター使用料ですか?」と質問すると、無言で小さくうなずきました。
センター使用料とは、大手スーパー等で、商品をチェーン各店舗に仕分け配送するために自社所有の物流拠点を取引業者が使用する際に支払う対価のことですが、実態は上記4.で述べたとおり仕入値引です。なぜなら、被告はセンターを所有していないからです。センターを所有しているのはベンダーであって被告ではないので、使用料を取るわけにはいきません。