できれば期待以上に | Lithium Star

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この1ヶ月はぱたぱたとベースの依頼が多く入りました。

レコーディング前なのでセッティングを見て欲しいとか

自粛期間中にずっと弾いていなかったので調子が悪い、などなど。

少しずつバンドマンたちの日常が戻りつつあるのかなと

うれしい気持ちになります。


その中でひとつ面白いことがあったので紹介します。


お預かりしたのは仲間内の一人がメインで使用しているベース。

スタンドに置く時などにガリが出るのでどうにかしたいと。

それとミニスイッチが中に落ちているので出して欲しい。

年に数回の大事なライブ前のリペアということでした。


あまり長い期間預かれないので、使用しているワイヤレスの型番を

事前に教えてもらいネットで情報を漁りました。

人気のある製品、定番となった製品はトラブル報告も多いです。


トランスミッターの電池のふたがとてもちゃちで壊れやすいこと。

激しく動くと電源が途切れること。

ジャック部のメーカー修理は費用がほぼ新品購入並みなこと。

そこそこの情報が集まってから機材をお預かりしました。

トラブルを再現する必要があるので

ベース、ストラップ、トランスミッター、専用シールド、

レシーバー、そしてアダプターまで一式まとめてです。


診断の結果、実際のガリの原因はおもに2つ。

友人に作ってもらったというワイヤレス用のシールドの作りが

ほんの少し甘いところがあったこと。

それとトランスミッターのジャック接点の汚れと精度の問題でした。

いまのワイヤレスは安く軽く作られているのでその分、

耐久性や精度はいまひとつなのは仕方のないところ。


シールドはハンダと組み立てをやり直し。

ジャック自体の磨耗やダメージはそれほどでもなかったので、

念入りな清掃とケミカルでの接点保護でノイズは軽減しました。

ミニスイッチはさくっと固定して終了。


電池のフタはオーナーがホルダーを使って対策済みだったので

今回はトラブルの原因にはなっていませんでした。



(画像はイメージです)


そして返却当日。

依頼された内容と処置についての簡単な報告をしました。

それと同時に二つほど追加情報を。


一つは今回フレットが酸化して状態があまり良くなかったので

仲間内&ライブ直前サービスで磨いておいたこと。

もう一つは純正アダプターからではなく某メーカーのものから

9Vを引いた方が音質が向上するよというお徳情報の報告でした。


依頼主の友人はたいそう喜んで翌日のゲネプロに挑みました。

すると夜になってLINEが来て、

「アダプターの件、試しにやってみたら本当に低域が出てレベルも上がった!」

「フレットも音詰まりが解消されたのでライブが楽しみ!本当にありがとう!」

と大喜びしてもらえました。


その友人は自分と同年代で、お互いの音楽の趣味やライブのあり方など

呑みながらいくらでも音楽話で盛り上がれる仲間です。

あとどれくらいこうして好きなことやってられるかねーなんて

互いに言っていたのを思い出したらベースを完璧な状態にしたくなりました。


アダプターの件はワイヤレスの深い情報を調べていた時に

たまたま偶然に個人のブログで見つけた情報の一つです。

Lowe君に感謝です!と言ってもらいましたが正確には

貴重な情報をネットに書き残してくれた先人のプレイヤーさんに大感謝です。


期待してくれたらやはりそれ以上のお返しをしたいですからね。


リペアの技術は大事。

情報収集も大事。

仲間で助け合う気持ちも大事。


そうあらためて確認できてよかったなーというお話でした。