今日は、タイトルというより、表紙のパンチ力に負けて購入した本をご紹介いたします。
表紙のインパクトがハンパじゃないですよね。怪しくて手に取りづらい、、
「え?いつまで学生時代と同じ勉強法やってんの?脳の仕組み変わったんですけど」
私もそうでしたが、大人が学生時代と同じ勉強法が良いのか悪いのかなんて考えたことがない人が大半ではないでしょうか。
「もし大人に合った勉強法があるのなら、ぜひあやかりたい」と思った方はぜひこの後も読み進めてみてください。
本の情報
書籍名:一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方
著者名:加藤俊徳
発行年:2022年11月10日
おすすめ度:★★★★☆
(おすすめ度の基準)
★★★★★ ずっと本棚に残しておきたい
★★★★☆ 人に勧めたい
★★★☆☆ 読んで良かった
★★☆☆☆ 読んでも読まなくてもいい
★☆☆☆☆ 読む必要性は感じない
脳のポテンシャルはいつまででも引き出せる
著者の加藤俊徳さんは、脳内科医、医学博士で加藤プラチナクリニック院長であり、株式会社脳の学校の代表です。
脳内科医って何だろう、って思いますよね。気になって調べたところ、加藤先生のクリニックは東京都港区白金台に所在し、下記の外来を行なっているとのことです。
脳画像診断外来:
MRI画像を用いて、脳の使い方や得意・不得意を診断し、脳の強化法を処方しています。
脳の強化外来:
脳画像診断外来受診後にも脳を強化する生活や脳番地トレーニングの継続的なサポートを行っています。
何をきっかけにこの病院の受診に至るのかは分かりませんが、とにかく脳の専門家として人の力を引き出すといったところでしょうか。
また「小児科専門医になり臨床医として、未熟児・新生児医療やアレルギー専門外来の経験を積んだ」とプロフィールの中にありましたが、最近よく目にするADHDの専門外来も行なっているようです。
子どもの発達もそうですが、認知症も世界的な課題であることから、この脳内科の分野はこれから益々注目かもしれません。
そのような脳のスペシャリストである加藤先生の本、パワーワードばかりです、この書籍の中から私が学びを得た点をご紹介いたします!
あなたの脳は確実に学生時代より「いい状態」
さっそく「嘘でしょう」という内容から始まります。
しかしながら、これにはしっかりとした根拠があるというのです。
記憶や理解を担う「超側頭野」は30代でピーク
視覚や聴覚から入ってきた情報をもとに分析や理解をする「超頭頂野」は40代でピーク
実行力や判断力を司る「超前頭野」は50代でピークに
つまり、脳のピークは30代〜50代であり、なかでも45歳〜55歳は脳の最盛期といえるのです。
さらに驚くべきことに、脳のピーク時にしっかりと働かせておくことで、60代以降も脳は成長するとのことです。
ここで私が疑問に思ったことは脳細胞は加齢とともにどんどん減っていく一方ではなかったか、という点です。(頭を叩かれると脳細胞が死んで増えることはない、だとか)
この点に関しても疑問を解消してくれます。
一生の中で脳細胞が一番多いのは一歳前の乳児期
20歳頃から脳細胞は減少していき、ゆるやかに脳の老化は始まっていく
しかし、脳細胞の数がどれだけ潤沢にあったとしても、細胞同士をつなぐ情報伝達回路のネットワークが脆弱だと、脳を機能的に働かせることができないのです。
脳力を上げるのは脳細胞ではなく、ネットワークの発達です。
年齢とともに様々な経験を積み重ねることで脳に刺激を与え、それによって細胞同士をつなぐネットワークが広がり、脳の連携が密になっていく。
(ここから自己解釈)歳をとってからの脳は、漫画はじめの一歩において、主人公であり、プロになってから負けなしの幕之内一歩を老練なテクニックで翻弄し、初めて黒星をつけた伊達英二のようなことなんだと思います。(伊達も若いのですが、異様におじさんのイメージが・・・)
8つの脳番地を理解し環境づくりをする
「脳番地」というのは著者の造語です。脳には120ほどの脳の場所(番地)があり、脳の役割別に部署のように振り分けられています。そのうちの8つが重要になります。
・思考系脳番地 →社長
・理解、、 →現場リーダーで常務
・記憶、、 →調整役で総務部長
・感情、、 →陰のボス
・伝達、、 →広報官
・運動、、 →営業部門(現場)
・視覚、、 →営業部門(現場)
・聴覚、、 →営業部門(現場)
脳番地たちで株式会社ブレインを結成しているという考え方が分かりやすいです。
本の中では、それぞれの脳番地たちがユニークなキャラクター仕立てになっていて、結構強烈な個性を放っています。
正直最初は変な絵だなー、と思っていましたが、読み進めるうちに癖になるというかこの絵でしか成立しなかった気すらしてきます。(これも脳に訴えかけられている!?)
海馬ちゃんが可愛いです。
ぜひ本書でお確かめください。
脱線しましたが、脳の持ち主(自分自身)は何になるのかというと株式会社ブレインの監査役。
脳が効率よく働くことで利益が上がっているか、収支を見守り軌道修正を行います。
会社の風通しをよくして働きやすい環境を作ってあげることが大事になります。
例として、固有名詞が出てきにくい「あれのあれがああなって」などの現象が起きるのは、加齢ではなく、思考系脳番地がサボっているだけということが挙げられます。(すぐトシのせいにせず思考系脳番地を疑わなくてはなりません)
思考系を活発化させる方法:
・1日の始まりにその日のスケジュールを立てる
・家族や同僚の長所を3つ見つけてみる など
理解系を活発化させる方法:
・部屋の模様替えをする
・通勤経路を変えてみる
記憶系を活発化させる方法:
・ストレスを溜めない
運動系脳番地の特性:
・運動することで全体の指揮を上げる。ボーッとする時は運動するべき
「脳が成長する」というが、本当に脳の中では皮質と白質が形の上でも変化し、機能的にも成長している。(MRI脳画像で明らか!)
大人には大人なりの脳の使い方がある
加齢により、記憶するための脳のシステムが変わっていることを認識することが大事です。
子どもは「無意味記憶」と言って、知らない言葉でも記憶できますが、大人は記憶するよりも前に疑問が湧いてきて、意味を理解してから記憶する「意味記憶」が優勢になっています。
大人の短期記憶を長期記憶にするかの判断は脳の中の海馬が行うため、意識した記憶の仕方が必要となるのです。
テクニックは以下の通り。
ワクワクしたポジティブな感情に海馬はだまされる
やりたくないことを脳をだまして楽しいと錯覚させる。好きな物を飲みながら勉強、終わった後のご褒美を頭に描いてからテキストを開く。好みのタイプの先生に習う
繰り返す、復習する。しかも復習は真ん中から
覚えたい知識との親密度をあげるため、接点を増やし顔馴染みになる。最初と最後は記憶に残りやすいため、あえて真ん中を集中的に復習することが効果的
2時間勉強するよりも10分の勉強を12日間続ける。
何か一つのことを勉強するときは、常にそのことが頭の片隅にある状態が理想的。
75時間程度続けると脳が新しい勉強内容を受け入れて好意的に働き出す
あとで誰かに教えなくてはならない、という前提で物事を覚える
緊張感とともに学習することから脳が働き出すため、アウトプットを意識しながらインプットする。実際に家族・友人に話したり、SNSに発信すると効果的
すごい勉強法
人によって聴覚系と視覚系のどちらが優位に働くかが決まっています。
聴覚系が優位な人は、言葉の情報が入りやすいのが特徴で、視覚系が強い人は、文字による情報が入りやすいのが特徴です。人の単なる真似ではなく、自分のタイプに見合った勉強法をすることが大事です。
(私は視覚系が優位でした。本書の中で簡単にチェックできるようになっています。)
タイプ別という訳ではありませんが、脳番地たちを活性化させる効果的な勉強法は以下の通り。
・音読する
視覚系、伝達系、運動系、聴覚系が働きます。これにより海馬が長期記憶に情報を入れる動きをとります。
・オーディオブックやラジオを聴く
聴覚系脳番地は朝から眠るときまで働くため、一日の終わりに何もできなかったと落胆する前に、オーディオブックなどで耳から学びましょう。
・一日60分を目安に歩く
運動系脳番地はすべての脳番地のエネルギー源になっています。運動系は脳全体を回すトリガーであり、運動をしないと頭が悪くなります。
・就寝前に復習して、そのあとスマホは見ない
寝る1時間前に記憶に残したいことを復習します。寝ている間も脳は活動し、浅い眠りのレム睡眠時に記憶を再生・整理し、深い眠りのノンレム睡眠時に長期記憶を形成するとされています。
また、脳にはより最新の情報を上書きする仕組みがあるため、復習後はスマホをいじってYouTubeを見たりせずさっさと寝ましょう。
・デッドラインを設ける
脳は締切が大好きですので、あえて時間に追われるように締め切りを設定しましょう。
・朝と寝る前に少しでも勉強する
朝と寝る前に勉強すると、日中帯も睡眠の間も一日中勉強している内容のことが頭の中にある連続性を保てるため記憶に定着します。
感想
文章中に出てくる高速道路と一般道路の話など、例え話が随所に盛り込まれていてとても分かりやすいです。
また、脳番地たちをモチーフにしている四コマが記憶に残るユニークな内容になっており、まさに大人脳に刻まれる作りになっています。
この本を読むと、予期せぬ事態やいつもと違うことが起きたら「脳のトレーニングになる」とポジティブに思えるようになります。それだけでもすごい効果ですよね。
暑い季節にエアコンの効いた場所で一気に読んでいただきたい本です。
それではまた。